分かれ道の大木
投稿者:こはる (15)
私が大学生の時の体験です。
テニスサークルの夏合宿でとある山奥のロッジに宿泊していた私達は、最終日の夜に肝試し大会をすることになりました。
これはサークルの恒例行事で、毎年夏合宿の最終日には肝試しを行い、肝試し係の3年生がお化け役となって道中に隠れる決まりでした。
さて、いよいよ肝試しが始まる直前、ロッジのオーナーが急にこんなことを言い出しました。
「昔、分かれ道の真ん中に立っている大木の下で首吊り自殺をした人がいたんだよなぁ。」少し気になりましたが私達は肝試しを始めることにしました。
3人1組で順路を進みました。
途中、隠れている先輩に驚かされその都度写真を撮られました。そしてもうすぐゴールという時、目の前に分かれ道が現れその真ん中に大木が立っているのが目に映りました。
「あ、この木だ。」私は何だか気味悪くなって早足で立ち去ろうとしましたが、その大木の影に隠れていた先輩に驚かされて立ち止まりました。
先輩は私達の驚いた顔の写真を撮ろうと何度もシャッターを押しましたが全く反応しませんでした。
先輩は早めに来て隠れていたので先程のオーナーの話を知りませんでした。
私は先輩にこの木の下で自殺した人がいることを伝えました。
すると先輩はみるみる顔が青ざめ、ものすごい勢いで走っていきました。
こうして肝試し大会は終わりました。
ロッジに帰ってから先輩に何故急に走り出したのか聞くと、一人で隠れている間に何度も誰かに肩を叩かれたというのです。
振り返っても誰もいなかったので気のせいだと思っていたようですが、自殺の話を聞いて怖くなったということでした。
後日、肝試し大会の写真が出来上がり、みんなで見ていると1枚だけ真っ白な写真がありました。よくよく見ているとあの急に走り出した先輩が写っていました。
それともう一人、大木の影に隠れている先輩の肩を叩く若い男性らしき影が写っていました。
おばけ役の先輩は一人で隠れていたので、誰かに写真を撮られるはずはないのです。
その場にいた全員の背筋が凍りました。
そしてすぐにその写真を神社に持っていき、写真に映っていた先輩も一緒にお祓いしてもらいました。
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