霊道にあるワンルーム

私が６年間一人暮らしをしていたマンションでの出来事です。

普段から仕事が忙しく休日も外出が多かったので、あまり部屋で過ごす時間は多くなかったので全く支障なく生活していました。

ただ入居して少し経ったころ長年使っていたテレビが壊れました。
寿命だなと新しいテレビを買って1週間、また壊れたのです。

カスタマーサービスに連絡して、修理して貰いまた一か月、また映らなくなってしまいました。
また連絡をしたところ不良品なので、交換しますとのことで新しいものに交換して貰いました。

交換した新しいテレビはたまに映りが悪くなる事があるものの映らなくなることはなかったので、ひとまずテレビ問題は落ち着きました。

後は、その頃、安価なＤＶＤプレイヤーを愛用していたのですが、それもよく壊れました。
６年間の間に３台買い替えました。その当時は安いし、見る頻度も高いから壊れるのかとさほど気にせず買い替えていました。

住んでいた最後の１年は転職をしたので、３か月程仕事をしていない期間があり家で過ごす時間が増えていました。そして同時期に友人と占いに行って気になることを言われたのです。

どうやら私の部屋は丁度、霊道と呼ばれる霊の通る道が通っているらしいと言われたのです。

そう言われれば、テレビとＤＶＤプレイヤーの故障も納得出来るし、そういえば第六感が強い友人が部屋に来た時も、「なんかこの部屋暗くない」の一言もそういう事だったのかと思い出すことになりました。
ただ他に何かあったわけではないので、そうなのか、今回の部屋の更新はせず引っ越そうと思うくらいであまり気にしないようにしていました。

そして事件は起こりました。

その日はお昼頃に起床し、ゆっくり過ごしていた曇りの日でした。

ピンポーンとチャイムが鳴り、出ようとしたその瞬間、尋常ではないピンポンの連打とドアノブをガチャガチャ回す音。

「えっ何、何が起きているの？」それが２分程続き何とも言えない恐怖で玄関の前に動けずにいました。

そして次の瞬間、ドアの下にあるドアポストのフラップが開けられて指が見えたのです。
あまりの恐怖に玄関の部屋との扉を急いで閉め、部屋に戻りました。
始めて味わう得体の知れない訳ががわからない恐怖にただただ怯え、時間が過ぎるのを待ちました。

その間もドアノブを回す音とドアポストを開ける音が鳴っていました。

２時間程たった頃、確認をしようと玄関への扉を開けようとした時、またピンポンの連打とドアノブを回す音、そしてドアポストを開け閉めする音がするのです。

さすがにもう耐えられないと警察に電話しました。

警察が到着し、マンションの階段を上がってくる音が聞こえたので、そろそろと玄関の前に行ってみました。すると警察の人の呼びかけに答える女性の姿が･･･

なんと、ここは私が住んでいる部屋で鍵をなくしたと答えているのが聞こえます。

なかなかパトカーに行ってくれる気配がなく、３０分程でしょうか、やっと説得出来たらしくドアの前から立ち去ってくれました。

そのあとで警察の方々が来てくれて事情を説明してくれました。

どうやら、以前から私がいなかっただけで、何回もその女性は訪ねてきていたらしいのです。

しかし正確に理由はわからないらしく、警察の方からまた来る可能性があるので、その時はすぐに連絡をくださいとだけ言われ、冷静ではなかった私はそのほかの事も聞けず、そのままドアを閉めました。

それから数日、私は引っ越しの予定を早め早々に新しい部屋を見つけ、その部屋を出ました。