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でぃーくんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

バイク屋の禁忌
長編 2026/03/03 14:20 231view

5年ほど前に経験した不思議な話
私は高校卒業後、近くのバイク屋に就職した当時19歳の新人メカニックだった。

あなたはバイク屋には禁忌というものがあるのはご存知だろうか?
どの職業にもその仕事特有の禁忌というものがあるだろう。
バイク屋の禁忌、それは重大な事故、死亡事故があったバイクは売ったり、直したりしてはいけない。必ずスクラップにしなければならないと言うことだ。

今回の話は当時新人だった私がその禁忌を犯してしまった話。

入社して1年目、当時私は憧れているバイクがあった。Y社が出している4気筒の400ccのバイクだ。
バイク屋というのは安月給でバイクに触れる機会は多くてもなかなか好きなバイクを買えるような状態ではなかった。朝から晩までバイクの整備、オイル交換、点検、中古車整備など学生時代に比べればまるで早送りのように感じる日々を過ごした。

そんな生活にも慣れてきたある日、森田さんという名前のお店のお客さんがいた。
自分と同年代で一生懸命貯金したお金でバイクを購入した。
その買ったバイクがまさに私が欲しかったY社のバイク。年が近かったこともありすぐに意気投合した。

森田さんのバイクは先輩に教えてもらいながら私が納車整備をした。ピカピカに磨き上げられた車体はカッコよさを超えて美しさすら感じた。

納車当日、完璧な仕上がりに森田さんはうっすら涙すら流していた。きっとずっとこの日のために頑張ってきたのだろう。
私もそんな森田さんを見て自分も必ずこのバイクを手に入れると心に誓った。

それから数日後、電話がかかってきた。
【〇〇オートさんですか?こちら〇〇警察署の者です。】警察からの電話だった。
私は少し嫌な予感がしたが要件を聞いた。
【はい。そうですがどうされましたか?】
【実はそちらのお店のステッカーが貼られたバイクが今日事故を起こしました。森田さん?という方ご存知ですか?】
私は名前を聞いた瞬間ドキリとした。

警察の話では森田さんがバイクで走っていると対向車線からコンビニに入ろうと右折した車とぶつかってしまったらしい。バイクは大破。森田さんは胸を強く打ち搬送先の病院で命を引き取ってしまった。
大破したバイクは警察が保管してるからレッカーで引き上げて欲しいとのことだった。

すぐに社長に内容を伝え大破したバイクをレッカーする事になった。
警察署につきバイクを確認すると鮮やかなブルーだったバイクは見る影もなくタンク部分には森田さんとの思われる血が付着していた。

バイクを引き上げ終わり社長に報告する。
あまりの出来事に動揺していたのか、ここで私は社長に無理なお願いをする。
【このバイク私にください!】
今考えるとおかしな話だ。しかし私は何かに取り憑かれているかのように社長に頭を下げお願いした。
社長はわたしを諭すように話し始めた。
【お前は入ったばかりで知らないだろうがバイク屋には守らなければならないルールがある。掟と言っても良いだろう。
それは死亡事故があったバイクはスクラップにすることだ。もちろん俺らバイク屋にしてみれば事故したバイクを新車同様に戻すことなんて容易いことだ。しかしこれは昔から決まっていたことで、社長から先輩へ先輩から後輩へと。代々言われてきた事だ。】
私は話を聞いて馬鹿らしいと思った。まだ直せば乗れるバイクを捨ててしまうなんて勿体無いと思った。
社長を何時間か説得し、何個かの条件を加えて社長は許可してくれた。

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