12月24日。
クリスマスイブだというのに、接客業の私は今日も仕事だ。
社会人になって5年目。
人が言う季節のイベントは、いつからか店の混み具合を測るための目安でしかなくなった。
身支度を済ませ、愛車のカブに跨る。
(なるほど、ホワイトクリスマスとまではいかないが、指先が痺れるくらいには寒い)
勤務先は、山を一つ越えた隣町のショッピングモールだ。
走り慣れた道を、いつも通りに走る。
エンジン音は軽く、調子も悪くない。
(……最後にオイル交換したの、いつだっけ)
そんなことを考えながら、山の峠道に入る。
原付には少しきつい傾斜を登り、いくつかのカーブを抜けた、その時だった。
反対車線の先、カーブの向こうから、
明らかにオーバースピードの軽貨物トラックが現れた。
嫌な予感がした。
次の瞬間、トラックは曲がりきれず、
トロトロと走っているこちらの車線へ突っ込んできた。
⸻
世界が、スローモーションになる。
胸と腹に、焼けた鉄を押し付けられたような痛み。
体が宙に浮き、視界が回転する。
受け身を取る暇もなく、
背中から冷たいアスファルトに叩きつけられた。
肋骨が折れる感触が、はっきり分かった。
肺に刺さったのだろう、口の奥から泡立つ血が溢れ、
湧き水のように、ぶくぶくと零れ落ちていく。
もう痛みもほとんど感じなくなってしまった俺の体を、
やけに冷静な私の意識で無理やり動かし、
霞んだ視界で周囲を見渡す。
知恵の輪みたいに変形した、私の愛車。
























これは既視感ではなく予知だと思う。