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呪い・祟り

久保隆さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

じゃあ、しょうがないな
短編 2025/07/19 09:20 1,935view

「なー、マジでここ? ガチでヤバいって聞いたんだけど」

夜11時。
潰れた精神科病院の前で、カズがヘルメットを脱ぎながら言った。

「ビビってんの?」

そうからかうのはミホ。セミロングの金髪にピアスが光る。

三人目のリュウは黙ったまま、ポケットからタバコを取り出した。
火を点ける手が、微かに震えていたのを、カズは気づかなかった。

「……返してください」

最初にその声を聞いたのは、病院に入って10分ほどしてからだった。

地下の診察室跡に落書きをしていた時、背後で女の声がした。
けれど振り返っても、誰もいない。

「なんか今、聞こえた……?」

「気のせいでしょ。風だよ」

ミホはそう言って笑ったが、リュウだけがひどく青ざめていた。

帰りのコンビニで、リュウは一言も喋らなかった。
あれ以来、何かに怯えるようにして、いつも背後を気にするようになった。

3日後、ミホが言った。

「リュウ、最近マジでヤバくね?」

「ずっと部屋の隅見てんの、マジでやべーって」

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