呼びかけにも反応しなくなったリュウを、ふたりは気晴らしに誘った。
「バイク乗ろうぜ。海まで流そう」
ツーリング中、リュウはほとんど口を開かなかったが、風にあたって少し落ち着いたようにも見えた。
だが、海岸線のトンネルに差しかかったとき──リュウの体がビクッと震え、バイクが突然転倒した。
「おい、リュウ!!」
叫んだが、すでに遅かった。
リュウは数メートル跳ね飛ばされ、壁に激突していた。
即死だった。
翌日、制服姿の男がふたりのもとを訪れた。
生活安全課の大西刑事。地元では顔見知りの、“見逃してくれるタイプ”の大人だ。
「バイク事故だったって聞いたけどよ、……何かあったか?」
「いや、急にって感じで……ただ、あいつ、ちょっと前から様子がおかしくて」
ミホが言葉を濁すと、大西は小さくうなずいた。
「……お前ら、あの廃病院、行っただろ?」
カズが驚いて目を見開く。
「なんで知ってんスか?」
「…行ったんだな?」
「…まぁ、行きましたけど…」
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