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kanaさんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

【帰還】-事件記者 朽屋 瑠子-
長編 2025/01/19 00:28 2,317view
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2024年11月12日、横浜港にあるM重工業横浜製作所本牧工場に、謎の艦艇が入港した。横浜市はこの事実を非公開にしていたが、海上保安庁に入った情報によると、この艦は西太平洋・インド洋を管轄とする米海軍第7艦隊所属のルイス・B・プラー級遠征洋上基地(ESB)「ミゲル・キース」であるということが判明した。

「ミゲル・キース」は元々はアラスカ級石油タンカーを改造して作られた艦艇で、見た目はタンカーそのものだが、ヘリの離発着、格納から、対機雷戦、海兵隊の水陸両用作戦などの拠点となる等、まさに洋上の基地となる艦船であり、またF35B戦闘機の着艦も可能と、いまだにその戦力の全貌はベールに包まれた謎多き艦船でもある。

接岸したミゲル・キースから、一人の女性がタラップを降りてくる。
彼女の名は朽屋 瑠子(くちや るこ)。
彼女もまた謎多き女性である。
現在はペンシルベニアにあるCM大学 M理科カレッジ・生物学科に籍を持つ4回生であるが、
フィールドワークの一環として日本に滞在し、雑誌編集部に出入りしながら、日々不思議な事件と対峙している。
彼女の背中には、魔王ベールゼブブ、アスタロト、ルキフェルと契約を交わしたシジル刻印と、それら三つを3本の足でつかむ八咫烏(ヤタガラス)のタトゥーがあるという。

「お~~~い朽屋~こっちだ~」

「あっ、デスク!」

「迎えに来てやったぞ」

「ありがとうございます」

「やっと帰ってきたか」

「ハイ~。久しぶりの陸(おか)の上なんで、まだ波にゆられてる感じがします~」

「ははは、まぁ乗れ。中華街で飯でも食って帰ろうや」

朽屋に「デスク」と呼ばれたこの中年男性は、UFOとキャトルミューティレーション専門のオカルト雑誌「月刊モー」を立ち上げた編集長、ヴィンセント三上である。
彼はペンシルベニアでの取材中に、UFOによる牛の誘拐・惨殺、通称キャトルミューティレーションを目撃し、その時に朽屋瑠子と出会っている。後に現れたMIB(メン・イン・ブラック)によって記憶を消されるものの、朽屋の助けによって無事アメリカを脱出した経緯があり、その縁で月刊モー編集部内に朽屋の席を設けている。三上からすれば、朽屋は同じUFO事案を体験した戦友でもあり、また日々心霊的な活動も目にしていることから、朽屋の霊視能力のことなども、ある程度は知っている間柄だ。

さて、ミゲル・キースから降り立った朽屋は、いったいどこで何をしてきたのか・・・。

話は1年3か月ほど前にさかのぼる。

・・・・・・・・・・・・

2023年8月22日
南アフリカにて新興5か国(BRICS)首脳会議が開催されていた。
某C国の国家主席も前日にはヨハネスブルグ入りし準備を進めていたと思われるが、
突然、翌日に開かれたビジネス会合を欠席する事態となった。
C国政府からはこの件に関して正式な発表はなく、憶測を呼んだ。

「C国の指導者が多国間会議の開催国を訪れながらその開幕イベントを欠席するというのは極めて異例だ。とりわけBRICSのようにC国が深く投資している国々の会合では」
と、某金融ストラテジストが表明した。

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