【angst】　幾つかの不安

angst（独）：「不安」

case1:
部屋の鍵を掛け忘れたかもしれない。
駅までの道を引き返し、すぐに自室のマンションへ。
ドアノブを掴んで押すと、すぅっと扉が開く。
「あ、やっぱり」と思うと同時に、
「あ、やっぱり、戻って来なければ良かった」

知らないおじさんがリビングで、辛ラーメンを食べている。

case2:
毎朝、駅のホームで電車を待っていると、

「飛べ！　飛べ！　飛べ！」と叫びながら走り回っているおばあさんがいる。
別に誰かに話し掛けるわけでもなく、
ただずぅっと
「飛べ!　飛べ　飛べ！」と連呼している。

昨日、ついに彼女は飛んでしまった。

case3:（実話)
とても昔にお付き合いしていた異性から通話が来た。
「ごめんね　いきなり」
「どうしたの？」
「今ね、仲間たちと一緒にいるんだよね」

「へぇ。まぁ、またご飯でも行く？」
「うん、向こうでね」
「向こう？」

以来、連絡が取れない。

case4:（実話）
遠距離恋愛をしていた頃、
べつに他意もなくバイト先の異性と食事に行った。
スマホに通知。
「その子　誰？」

探偵を雇われていた。
なので普通に別れた。