とある通り魔事件について記事にしたことがある。
めじろ台の駅前で30代の独身男性が刺殺された。
当時はたまたまブログを始めていたので本当に気まぐれで、
「どうしてこんな犯行が許されてしまうのか?」という、わりとあたりまえの感想をネットに公開した。
それ以来ずぅっと、その事件の被害者男性が部屋の隅っこに暮らしている。
「あのぅ、どうしてここにいるんですか?」
「だってさぁ 君にはぼくが見えるんだろ?」
「え、まぁそのぅ、すごい血だらけなのはわかりますけれども」
「でしょ? 可哀想でしょ?」
「いや、そんな血だらけの人に居座られるぼくのほうが可哀想じゃない?」
「え? あ、そうか。そりゃそうだな」
「そもそも君さぁ、何歳なわけ?」
「え、まぁそのぅ、たぶんあなたとほぼ同じですよ」
「平成産まれ?」
「あ、はい。平成4年でして」
「じゃあ年下だな。おれ平成2年」
「そうですか。でも幽霊ですよね」
「……幽霊だから何だってんだよ先輩だぞ!」
「え? あ、すいません!」
それからしばらく、平成2年の幽霊と多くのことを語り合っている。
この平成2年さんは気難しい場合が多く、基本的にはポルターガイストを繰り返している。
「は? ターミネーターは2作目で終わりだろ!」
「いや、でも最近またリンダ・ハミルトンが出演している新作が」
「黙れこらぁ!」
ただ映画の話をするだけで、食器が吹き飛んでいく。
「2年さん。
そろそろ出てってもらえませんか?」
「そりゃまぁ、そうしたいのは山々なのよ。
でもね、行くとこないの」
「御家族は?」
「それがさぁ、びっくりしたんだけどさぁ!
ぼくが殺害されたあとに犯人が精神鑑定で無罪になってさ、で母さんが自殺して、
じゃあ父さんはどうしたかっていうと、すぐに再婚しちゃって」
「え、マジっすか?」
「嘘みたいだろ? 成仏してる場合じゃねぇんだよ」
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