旅行先の商店街
投稿者:さよなら新人類 (2)
短編
2024/12/03
20:01
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今度の休日に、ある地方都市へ旅行に行くことにした。
そんな話を友人に話したら、その近辺におもしろい場所があると教えてくれた。なんでも大通りから少し外れた場所に、昔ながらの商店街があるという。
旅行当日。帰りの新幹線まで時間が余ったところで友人の言葉を思い出し、例の商店街に寄ってみることにした。
なるほど、全体的な雰囲気には歴史を感じるが、それでもそこそこ人が行き交っていて、見ず知らずの旅行客である私を手厚くもてなしてくれた。
中でも、和菓子屋の主人が売り物であるはずの団子をくれたときには、思わず感激してしまった。今もあの団子の味が、忘れられない。
商店街を出る頃にはすっかり住人と打ち解けていて、私は商店街の人々に「今度はこちらにも遊びに来て下さい。歓迎しますよ」と呼びかけながらその場を後にしたのだった。
旅行から戻った翌日。友人と会う機会があったため、土産を渡しがてら商店街へ行ったことを話した。
「教えてもらった商店街にも寄ったけど、確かに良い場所だったよ。何が良かったかって……」
私が言い終わるのを待たずに、彼は嬉しそうに話しかけてきた。
「いやあ、気に入ってもらえたようで良かった。何しろ、最後に残った店が閉店してから、何年も手つかずで残っていたからな。あれだけ状態が良い廃墟も、そうそう無いだろう」
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