父親の話

私が子供の頃は、テレビで「怪奇特集」等と言う番組が夏の夜になると放映されてました。

よく父親と見ていましてね。その時の話を書いてみようと思います。

父親は定年退職後に車でよく出掛けていました。同じ趣味の友人〇さんと共に夕方に車で出て行きまして

翌日の午前中に帰宅します。何をしていたかと言うとカメラが趣味で地方の道端にある「道祖神」

の写真を撮っていたのです。朝日に照らされる道祖神の写真とかを撮るんですね。

ある日の夜、父親とその手の「怪奇特集」を見ていました。内容は「橋（鉄橋）の上を走ると

橋の始まりに母子（母親・男の子）が立っていて、それは自分たちをひき逃げした車を探して

いる」と言う内容でした。白い車が通ると姿を現して覗き込むんだそうです。

見ていた父親が突然「あ、これ本当だ」と言うんですね。私は「なんで？」と聞くと

「〇君（親友）が言ってたから」と言うのです。

数日して家に父の親友の〇さんが来たんですよね、父は「長野行った時にさ・・」て話を始めた

のです。夕方家から〇さんを乗せて長野に行き、夜中にこの橋を通ったそうです。

助手席にいた〇さんが「子供連れた女の人がいた」と言ったよね。と父が聞くと

「居たんだよ。それでね、母親のほうがジッとこっち見ててさ俺と目があったら口をパクパク

　しててね。たぶん「ちがう」て言ってたんだろうな」

父親にも見えたのですが覗き込んだところは見ていなくて、「こんな夜中に子供と出歩くなん

て変な母娘だ」と言う会話をしたのです。男二人なので怖さもなくてすぐに忘れてしまった

そうで、テレビみてて思い出した。と〇さんと話していました。

「へーあれって幽霊だったのか」「タクシーと勘違いして覗き込んだと思ってた」と・・

当時は車と言うと黒色が多くて、逆に白の車は珍しかったのです。

父の車は白のトヨタでした。