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焦慮バッタさんによるにまつわる怖い話の投稿です

遠い朝
長編 2026/09/19 00:38 17view

疎らに生える木の陰に、少年兵は立ち尽くしていた。
至る所で爆発する砲弾の音が、途切れることのない銃声が頭蓋全体を貫く。
そしてそれは、まるで最後に使い切ってしまおうとでも言わんばかりに少年兵の脳を快楽物質で満たした。
しかし、少年兵は知っている。
いや、知ってしまったのだ。
これが本当の快楽ではないことに。
自分たちには、こんな偽物ではない、何にも替えることのできない、特別な感情が存在することに。
「髦ソ雉?Θ繝玖イ?ココ蜈キ菴灘セ礼ャ代←」
生命そのものを鬱血するまで振り絞って出したかのような怒声が聞こえた。
少年兵は、右目だけを庇うように細めながら、それにも負けんほどの雄叫びを上げて、木の陰から飛び出して携えた銃を連射した。

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「はあ、はあ」
香奈は、けたたましく鳴る目覚ましのアラームによって、ようやく血生臭い悪夢から解放された。
窓からは、軒先から雫が一定間隔で落ちる音が聞こえてきた。
さっきまで夢で聞いていた轟音とは比べ物にならないほど小さくて、その間抜けさに思わず笑ってしまった。
最悪な寝覚めを振り切って起き上がると、2段ベッドの下で寝ている弟を叩き起こして1階に降りた。
母親と父親は先に朝食を食べ始めていた。

「はー、何なのもう…」
「もう、何朝からため息ついてるの。
また例の変な夢でも見たの?」

「うん、もうこれで3日連続なのよ、本当に気持ち悪い…」
「でもお姉ちゃん今日もめっちゃいびきかいて寝てたけどなー」
「うっさいなー!大体あんたが居間でFPSゲームばっかりするからこんな変な夢ばっか見るんでしょーが!」
香奈は、全くいつもと変わらず弟と軽口を叩き合いながら朝食を食べ終えて歯を磨くと、文化祭の準備のために一足先に学校へと向かった。

「よーい始め」
若い男性教師の威勢のいい声を皮切りに、一斉にシャーペンを走らせる音が教室を支配する。
朝の会で小テストがあることを香奈は完全に失念していた。
(まあ、成績にも大して入らないからなあ…)
香奈は何気なくプリントから目を離すと、横にある窓に時折ぶつかる小雨が目についた。
「そういえば、昨日の夢もこんな天気だったな・・・」
灰色の空の奥に、悲壮な表情をした少年兵の姿を見た気がした。

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