初めてはっきり見た
投稿者:白と黒の旅人 (32)
私の勤務先の喫茶店、その近くには心霊スポットというわけではないのですが肝試しでよく使われる場所があります。そこは山の中にあるのですがそもそもとして喫茶店近くの土地が霊的なものを引き寄せやすいので実質心霊スポットみたいになっています。
そこは地元の中でも都会からアクセスしやすいこともあり、今から私の地元で肝試しをするという方々がお店を利用されることも。
今回はそんなお客さんにまつわるお話です。
その日は男性2名、女性2名で来店されました。時刻は夜7時半ほど。発展してきたということもあり新しく出来たホテルに泊まる予定だったそうです。
これから肝試しをするのでその腹ごしらえ用にということで持ち帰り用のサンドイッチなどを買って行かれました。
田舎にしては比較的道の整備された山でしたが、注意に関してはこちらでもさせていただきました。
その方々が肝試しに出発してからそれなりに経ってだいぶ遅くなった頃、店のドアが勢いよく叩かれました。
ドアを開けるとどこを走ってきたのか泥だらけの4人。
「お客様、一体どうなされましたか?」
「匿ってくれ!!誰かに追っかけられてる!!」
となんとも曖昧というか突然な答えに困惑していると「Oくん、早くお店の中に入れてあげなさい。」
と店長に催促された。
「店長、一体どうしたんです?」と聞くと「いいからとりあえずお店の周りに塩撒いて来て。私は神主さんに連絡しておくから。それと、これも持っていきなさい。何を見ても反応しちゃダメだからね。」
渡されたのは塩と馬鹿みたいに明るい懐中電灯。言われた通り、塩を撒いていると店の窓に大きな影のようなものが見えた。とりあえずその影のいる窓とは逆回りで塩を撒いていく。半周ほどしてその影のようなものがいた窓の近くに戻るとまだ「居た」。
というか恐らくずっと。
斜め前方から見たソイツの姿を画像検索などで探せそうなものに例えるならロボトミーコーポレーションというゲームに出てくる化け物、「笑う死体の山」の口のないバージョンと言ったところだろうか。
笑ったり虚ろだったり真顔だったりと沢山の顔らしきものが窓にべったり張り付いている。
これまで霊的なものは輪郭のぼんやりした黒いモヤのようなものとしか見えず、性別すら分からなかったのだが今回は違う。
女性のような顔が役6つ、男性らしき顔が8つほど、そして顔のパーツだけのようなものが無数にあり、奇妙にねじれて全てが窓に張り付いている。
店の灯りで不気味に前面が浮かんだそいつの近くを通り、塩を撒く必要がある。その時にライトを当てっぱなしにしたり注視すれば何があるかわかったもんじゃない。
というわけで最大限の嫌がらせをすることにした。その顔まみれのやつに思いっきり塩をぶっかけたのである。そいつの方を全く見ないまま打ち水のごとく塩を撒く、幸いにも店長はそれなりに塩を用意していてくれたのでそのまま見店の周りを一周できた。
こーいった塩は食塩ではダメらしいがなんで店長はこーいう塩を持っているのかなどは考え無いようにした。
「さて、話を聞こうか。」
店長に催促されて4人が話し出したことによると仮名Cは「まず、××(地元の方では対して怖くない結構明るめの心霊スポット)に行ったあと、何も特になかったんで△△(山の中にあり道は整備されているが明かりが全くなくトイレ程度しかないところ)に行ったんです。そしたら急にU(女性)とK(もう1人の男性)が声をあげて獣道みたいなところに突っ込んで行ったんでとりあえず獣道はやばいと思って2人を引っ張って元の道に戻ったら沢山の足音みたいなのが追ってきてやばいと思ってとりあえず道のわかるここまで戻って来ました。」
捲し立てる様に説明されたので私は「??」状態だったがとりあえず店の窓から現在進行形でべったり見てくるあいつに追いかけられたらしいことは分かる。
店長に店の窓の近くで見たものを説明するとさすがの店長も「これはまずいね……神主さんに話をつけておいたから今すぐ神社に行きたいけども…よし。Oくんの車を持ってきてくれ。そして一度神主さんを連れてきて、神主さん同伴の上でOくんの車で神社に戻ろう。私がこの店から出てしまうとそれはそれでまずい。」
要は店長の軽自動車では4人+神主さん+店長の移動はできない。店長自身、この6人の中で唯一と言っていいほど霊障の対処に慣れている(店を開く前からある程度対処出来てたらしい)かつ、知識もある人なので離れては私も4人も危ない。それならアイツを見れてかつ無視できた私が自宅から車を持ってきて神主さんを迎えに行って神主さんを防衛装置として車に乗っけて神社に行こうというわけだ。
早速行動に移すことになった。私は自転車で来ており、家までは飛ばして5分ちょっと。家から車で神社は最短8分ほど。店長は私の頭からこれでもかと塩を被せ「あれが近づいてくると多分弾けると思う」と数珠を渡してくれた。
よく聞く「やばい悪霊などが近づくと数珠が切れる」というものを利用して接近してきたかどうかを知れということらしい。
さて、私は服は喫茶店の制服のままエプロンを外して自転車に跨っていた。時折頭や肩からかけられた塩が落ちていく。
喫茶店のマスターの知り合いである神主一家が何気に凄い力があるわ!
面白い。こういうの好き
神主一家、結構はとこいとこでの結婚多い家系らしいのです。もしかしたらそうやって血筋を保って来たからでしょうか。
神主一家に関してはマスターどころか私含め地元の人はだいたい知り合いですね。初詣とかに行く神社なので。By作者
↑返信ありがとうございます。いずれ投稿者様が神主一家に纏わる体験話を投下するのをお待ちします。