小学生の頃は地区の夏祭りが大の楽しみでした。小さな公民館で地元の人たちが焼きそばやかき氷を作る程度のこじんまりしたお祭りでしたが、いつもは寝る支度をする頃まで親公認で遊べることがとても楽しかったのです。
ある年の夏祭り、大人たちのカラオケ大会に飽きた私と友だち数人でぶらぶら歩いていると公民館の裏のほうでライトの明かりがちらつくのが見え、そっと近づいてみました。
すると悪ガキ扱いされている上級生数人が蛇をいじめていたのです。逃げられないように体に大きな石を置かれ、小石をぶつけられたり焼き鳥の串を刺された蛇はほとんど死んでしまいそうで、それでもなお威嚇を続けていました。
覗いているのが見つかって怒鳴られましたが、それでも「かわいそうだからやめなよ!」と私たちが口々に言うほど、蛇の姿はかわいそうで怖かったのです。
それでも上級生たちはいじめをやめず、ある友だちが「蛇は呪いの力があるんだよ、あんたたち全員呪われるよ!」と言っても逆に笑われるだけでした。
通りがかったおばあさんが無惨な姿で力尽きたな蛇をみるなり上級生たちを一喝しました。それは生き物をいじめるな、命を粗末にするな、といった真っ当なものでしたが、上級生たちのほとんどはハイハイと聞き流していました。
ところがおばあさんが蛇のために南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と唱えはじめると、上級生のひとりがうつむいてぶるぶると震えはじめました。
あれ?と思った瞬間、上級生は棒のように倒れ、白目をむいて痙攣をはじめました。
大人を呼んでくるうちに痙攣は収まったものの嘔吐して意識を失ったため救急車を呼ぶ騒ぎになりました。
結局上級生に異常はみられず、持病もないため数日後にはまた元気に遊び回っていましたが腑に落ちない点がいくつかあります。
大人たちは熱中症だといっていましたが、当時の田舎の夜はそこまで暑くないうえに上級生はしっかりジュースや焼きそばで水分も塩分も補給していました。
それに救急車を見送ってから蛇を埋めようとすると、どこにも死骸が見当たりませんでした。
最後に、あのおばあさんはどこの誰だったのか誰も知らなかったのです。
こわいてすね。
kamaです。好きですこーゆー話。
罰が当たる、ということは往々にしてあると思いますね。
忽然と消えた蛇、子供たちを叱ったおばあさん全ては謎ですね。