あの子は誰?
投稿者:take (96)
従姉妹が高校生の時の話です。
所属していた陸上部の練習が終わり、
帰ろうとした時に、教室に忘れ物をしたことに気づきました。
一緒に帰ろうとしていた友人ふたりに、
「忘れ物したから取ってくるわ」と言うと、
「んじゃ、ここで待ってるね」と言ってくれました。
教室に行くと、もう誰もいませんでした。
薄暗かったのですが、夕陽が差し込んでいたので、
明かりをつけずに、窓際の自分の机まで行き、
忘れ物をカバンに入れ、ふと窓から外を見ると、
外で待っている友人ふたりが、こちらに向かって手を振っています。
従姉妹も手を振り返して、待たせちゃ悪い、と急いで教室を出ました。
「ごめんねー」
従姉妹が友人ふたりのところへ行くと、
「さっき、後ろにいた子、誰だったん?」
と、言います。
「え? なんのこと」
従姉妹は意味がわかりません。
友人達が、言うところによると、窓際で従姉妹が机をごそごそやっているとき、
その後ろに、制服を着た女子生徒が立っており、こちらに向かって手を振っていたそうです。
ちょうど窓の桟の陰になって顔がわからなかったのですが、従姉妹と一緒にいるし、
自分たちに手を振るので、てっきり共通の友人の誰かだと思っていたのだそうです。
むろん、従姉妹の側に誰もいませんでしたし、教室には彼女ひとりだけだったのです。
「変なこと言わないでよー」
従姉妹はからかわれているのかと思いましたが、友人ふたりは確かに誰かいた、といいます。
「ああ、そういえば……」
友人たちが思い出したように、顔を見合わせました。
その人物は冬の制服を着ていたそうです。
七月の夏休み間近の出来事でした。
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