舞い落ちる白いもの
投稿者:YoyoYoyoY (52)
短編
2023/01/21
01:20
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小学校5年生の遠足は、緑地公園でカレーを作る楽しいイベントでした。
300人の生徒たちが一斉に最寄りの駅へ集まります。
点呼をする先生も汗だくで、そんな様子を私は静かに見守っていました。
「ねえ、知ってる?この駅の周辺って江戸時代にね、お墓がたくさんあった場所なんだって」
前に並んでいた友達が、うふふふと笑いながら話しかけて来ました。
「だからね、ちょっとビルを建てようと掘り返すとさ、人骨がバラバラと出てくるんだって、怖いよね」
私は駅の天井を眺めながら、「うん、怖いね」と返しました。
なるほどそういうことか・・・。
駅の天井から白い煙のような、埃のようなものが舞い落ちて来ます。
何だろうとよくよく見ると、人の手でした。
それは、普通の人の手の5倍くらいはある大きなもので真っ白く光っていました。
ふわふわり~ふわふわり~現れては消え、またふわふわり~ふわふわり~
何故か手ばかりが降ってくるのです。
怖いとは思わず、興味津々で見続けました。
(きっと私しか見えていないだろうから、黙っていよう)
ほどなく電車が来たので、私たちは緑地公園へ向けて乗り込みました。
ふわふわり~ふわふわり~大きな手はずっと落ちて来ます。
ガタンゴトンと電車が軋むたびに、遠くで小さくなった白い手は、さながら山霧のように霞んで見えるのでした。
(いつか成仏できると良いですね)
私はカレーイベントにチャンネルを切り替えました。
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