機械の機嫌
投稿者:YoyoYoyoY (52)
短編
2023/02/04
14:24
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職場で使っていたノートパソコンが、
とうとう寿命を迎えようとしていました。
パート勤めのため、会社からは支給されないので自分のお古を使っていた
わけですが、故障すると事務作業が全て手作業になります。
これは困ったと思いました。
「パートにもパソコンを支給してくれたら良いのにね。
納品書だって、毎日10枚以上作るのにさ」
同僚の言うのももっともですが、予算がないので仕方ありません。
「精密機械類って、その機械をサクサク扱えるプロフェッショナルな人が
近くに来ると調子が良くなるって聞くけどな」
私はそんなジンクスっぽいものを思い出しました。
機械類は、念力や霊的な力に作用されやすいのです。
そこで、社内で一番パソコンに強いKさんに電話してみました。
すると今日の営業の取引先が近くだから、寄ってくれることになりました。
Kさんが来たので、調子の悪いところをあれこれと説明しました。
ふんふんなるほどと、ちょっとKさんが触った途端パソコンは
機嫌よく動き出しました。
それはまるで、馬に乗り慣れた人が馬を触ると従うけれど
慣れてない人が触ると舐められるような感覚です。
私のパソコンのくせになんて奴だ!と思いましたが、機械は正直なようでした。
調子が悪くなってから2年ほど、動きが鈍くなるとKさんと話をするだけで
調子を取り戻すことが何度も続きました。
プロフェッショナルには特殊な力があるようです。
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