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心霊

おつまみさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

海からの死者
短編 2022/08/27 21:02 1,041view

これは娘が小学生の頃の話です。

海に行きたいという娘を連れて、友人と三人で海に行きました。

友人は波打ち際で寝てるからというので、私は娘を連れて海へと入りました。

最初は娘が浮き輪を使い、私がビーチボールを抱きかかえ、お互いに浮かんで遊んでいたのですが、途中から浮き輪は嫌だと言い出し、私が浮き輪で娘がビーチボールを抱いていました。

お互いにぷかぷかと笑いながら浮かんでいたのですが、いつの間にか沖の方まで流され、これはまずいと思った私は岸に戻ることを娘に言いました。

娘は「うん」とは言うものの、一向に動こうとはしません。

「どうしたの?」と声をかけても返事がなく、そのうち意識が遠のいているような気がしました。

「しっかりして!」と声をかけ、娘の体を支えるように腕を伸ばします。

ところが、娘の方は全てを放棄しているように、全く体に力を入れません。

さらには、ビーチボールを手放そうとしている状態。

これはヤバイ!

そう思った私は、とにかく浮き輪のヘリに娘の腕を絡ませ、ビーチボールを抱きかかえるように言いました。

必死に岸へと泳ぎ、何とか足の着くところまで来たのですが、やっぱり娘はぼんやりしています。

さらには、手から離れたビーチボールをふらふらしながら追いかけようとするので、「そんなのはいらないから!岸に上がるよ!」と引っ張るようにパラソルの場所まで連れて行きました。

後日、どうしてそのような状態になったのか娘に聞いてみると、海の底から手が伸びてきて、自分の足を引っ張っていたと言います。

それも、1本や2本の手ではなく、無数に伸びている手です。

さらには「もういいよ、頑張ったじゃない。これで終わりにしようね」という女性の声。

娘は「お母さんの声だ・・・お母さんがそういうなら、もういいよね」と意識を手放そうとしたそうです。

そこに私が「しっかりして!」と怒鳴ったもので、ハッと我に返り「お母さんが死のうなんて言わない。あれはお母さんじゃない!」と思ったそうです。

すると頭の中に、低い男性の声で「ちっ、もう少しだったのに」と聞こえたというのです。

ビーチボールを追いかけていた時も、「こっちだよ、こっち。おいで」と誰かに呼ばれているような気がして、ふらふらの状態でありながら、ボールを追いかけたと言います。

子供の頃に、母親から「海は死者がいるから、お盆に行くもんじゃないよ」と言われていたのを思い出しました。

そんなのは単なる言い伝えで、クラゲがでて危ないから、その時期は行くなというだけのことだろうと思っていましたが、本当に死者がいて足を引っ張るのか・・・。

と思わずぞっとする体験をしました。

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関連タグ: #お盆#声#子供#海
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