別の顔に変化した写真
投稿者:pams (61)
短編
2022/04/05
00:19
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祖母の家に遊びに行くたびに飾ってあるたくさんの写真を見て、そこに映っている女性をずっと祖母だと思っていました。
顔が祖母だからです。
初めてのその写真を見たのは小学低学年の時。
祖母は着物姿で花壇に腰掛け、微笑を浮かべています。
時は過ぎ、社会人15年目の夏、祖母は亡くなりました。
無事にお葬式が済み、遺影が家のお仏壇用になった写真を持ち帰りました。
お仏壇に置いて手を合わせ、荷物を整理していた時です。
ふとあの写真に目が行きました。驚いて思わず「…へ…?」と声を漏らしてしまいました。
ずっと祖母だと思っていた着物の女性の顔がまったくの別人の顔になっていたからです。
どういうことだろうと思い、そこにいた家族や親せきに聞きましたが、「最初からこの顔だよ」と言われてしまいました。
子どもの頃から祖母に見えていたのは実はわたしの曽祖母だったのです。
「親子だから似ているのは当然」だと言われましたが、今まで見ていた顔と今見ている顔が本当にまったく別の顔なのです。
言ってみれば加工で顔だけ取り替えたような感じです。
今までわたしが見ていた顔ではないことは確かで、本当に驚きました。
今でも改めて祖母と曽祖母の写真を見比べてもあまり似ておらず、一体わたしが見ていたのは何だったのかと不思議な気持ちになります。
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