六本指の村の掟
投稿者:懐炉 (9)
短編
2022/03/18
12:17
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私の祖父は右手に傷痕があります。ちょうど手の側面に何かを切断したような痕跡があるのです。
「おじいちゃん、この怪我はなあに?」
まだ幼い私がそうたずねた所、祖父は自分が教えた村の掟を話してくれました。
祖父はある地方の山間の貧しい村に生まれました。
そこは戦国時代に大きな合戦に敗れた武将とその家来が落ち延びてきた集落で、もともと住んでいた百姓を武力と暴力で制圧し、村ごと乗っ取ってしまったのだそうです。
さらには近隣の集落から婦女子をかどわかすなど好き放題し、忌み嫌われていたといいます。
近親婚を繰り返したせいでしょうか、村では度々奇形の子が生まれました。六本指の赤ん坊です。
指が一本多いだけ、今なら個性と認められるかもしれません。手術で除去することも可能です。
しかし祖父の村の人々は、赤子の六本指を不吉と見なし、その指を鎌で刈り取ってしまったのだそうです。
新生児がそんな激痛に耐えられずはずなく、ショック死する子も少なくなかったと祖父は嘆きました。
「おじいちゃんも村の人に刈られたの?」
「ああ、そうじゃよ」
「六本目の指はどこ行っちゃったの?」
「親父とお袋が食べた」
祖父がけろりと放った言葉に耳を疑いました。
「貧しい村じゃったからなあ。不吉じゃなんじゃというのは迷信で、本音は赤子の柔肉が食いたかったんじゃろ」
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六本指の人が多い村って実際にありませんでしたっけ
愛知か岐阜あたりだったような記憶
新生児の指1本なんか大した量じゃないよな。食べるなら「ショック死する子」の方がメインよな( ・∀・) そのための口実でしかないってことよな。