深夜、ドアノブ
投稿者:りう (54)
短編
2022/03/13
00:37
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深夜、玄関のドアノブがガチャガチャと回された。
妻と子供も目が覚めるほど激しく。メチャクチャ怖かったが勇気を振り絞ってドアに近づきドアスコープを覗いた。
しかし外は真っ暗で何も見えなかった。
マンションだと外廊下が明るいのだろうが、我が家は田舎の一軒家なので、自宅前の道路は真っ暗なのだ。
スコープを覗いている間ガチャガチャは止まらなかった。明らかにドアノブを回している。
勿論、開けてみる勇気まではなかった。
我が家は呼び鈴を備え付けていないのだが、そもそも何か用事があれば「すみませーん」と声を掛けてくるものだ。
しばらくすると静かになったが、人が立ち去るような足音は聞こえなかった。警察を呼ぼうとも思ったが、夜中に騒がしくなると近所に迷惑が掛かると思ってやめた。
その後は、恐怖やら腹ただしいやらで、眠れなかった。
翌朝、外が騒がしかった。パトカーが来る音だった。
やって来たのは隣のお宅。夫婦を逮捕するためだった。
小学生の娘さんは毎晩、虐待されていて、昨夜、こっそり裸足で逃げ出して交番に助けを求めた、とのことだった。
パトカーには、その娘さんが乗っていた。
その子は私を見るや
「あの人も捕まえて!助けてくれなかった!」と発した。
知るかよバーカ。
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“知るかよバーカ” が怖いって話だよな