来訪者
投稿者:りう (54)
2人勤務の小さな交番は、夜になると近隣の交番と連携して一緒にパトロールするんだそうです。
というのも、日中は2人で働いていますが、夜は交代で仮眠をとるらしく、そうなると1人勤務になってしまうとのこと。
危険な仕事ですから、特に夜間は2人以上で勤務することが鉄則のようです。
その日、夜になって近隣同士で連携すべく、A交番の山中さんがB交番に来て、私の友人である原元とドッキングすることになっていました。
原元がB交番で待っていると、約束の時間になっても山中さんが来ません。変だなと思い無線で呼んでみたり携帯電話にかけてみるも応答がなかったそうです。本署から呼び出してもらうも、同様に応答なし。
これはどこかで事件でも拾ってしまい、一人で対応しているのかなと思って、しばらく待つこととし、交番の裏に入ってドアに鍵をかけ、残務整理をし始めました。
(本当は勤務中にやってはいけない行為ですが、来所者の対応で中断してしまうのを避けるため、時々やってしまうそうです)
しばらくすると、ドアをコンコンと叩きながら
「はらもっチャン、着いたよー。」
と声が聞こえました。
ゾッとしました。
なぜなら山中さんの声ではないからです。
それと、そもそも山中さんはB交番の鍵を持っています。
いったい誰なんだ・・・
「はらもっチャン開けてくれー、着いたよー」
と続きます。でも山中さんではありません。
山中さんは、いわゆるオラオラ系で、こんな喋り方ではないのです。
というか、声が違う・・・
ただ、[はらもっチャン]という呼び方は、山中さんにしか呼ばれない友人のアダ名です・・・
しばらくすると、「ッチッ」と舌打ちをしてその人は立ち去ったそうです。耳をすましていましたが、車やバイクの発車音はしなかったとのこと。
すると、すぐに電話が鳴りました。本署からでした。
山中さんがミニパトで来る途中、単独の交通事故で亡くなったという連絡でした。
しかし、山中さんじゃないあの来訪者は誰だったのか、わからないままだそうです。
明らかに「成りすました」者ですわ。
まぁ、道連れにもう一人くらい釣れるかな?と死神が思ったのかもしれないですね。
やだー😱
交番勤務も怖いね。こういうのが一番怖い。
誰だったんだ・・
開けなくて良かったですね