ある家族
投稿者:りう (54)
短編
2023/12/03
00:27
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最近、やっと就職先が決まりました。母はもの凄く喜んでくれて、アパートを探してくれたりスーツを選んでくれたり、それは異常なほどです。
厳しい父は「よかったな」だけでしたが、母いわく、かなり喜んでくれているとのことでした。
その後、引越し業者の手配や住民票の変更など、ほとんど母が進めてくれて、とうとう翌日、引っ越すだけとなった夜、母とキッチンテーブルでコーヒーを飲んでいました。
母がしんみりと、
「やっと一人生活が始まる。やっとよ」
と言いました。私が「え?どういうこと?」
と言うと、
「あなたが中学時代に荒れた時期があったでしょ」
「学校と警察に謝って、相手の家族に土下座して」
「全部、私がひとりで後始末したの」
「相手から訴訟を起こされ賠償金が発生してね。全額、私のパート代から何年もかけて支払ったの」
「父さんは『お前が悪い』って何もしてくれず、安月給のくせにパチンコに明け暮れて」
「今週中には父さんも出ていくの。離婚したのよ」
父は寂しそうな顔をしていました。
そして、リビングにいる父に聞こえるよう大声で、
テーブルに身を乗り出して、私に顔を近づけて、
目を見開いて唾液を飛ばしながら
「二度と、にーどーと!帰ってこないでね!!!」
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これはりうさんが悪い(笑)
(/_・、)(゜Д゜)。
そらそうなるわ
パチンカスから不良が生まれるのはデフォ