知らない人からの「すみません」
投稿者:pams (61)
短編
2022/02/25
16:55
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昨晩、お風呂から上がり洗面所でドライヤーをかけていました。
ブォーという大きな音のなか、右耳元で「すみません」という女性の声がし、なぜか私は「あ、こちらこそすみません」と言って一歩左に寄りました。
家の洗面所でドライヤー片手に鏡に映る自分を見ながら、いるはずのない女性のはっきりとした声。
あまりにも突然だったので思考が停止し「ちょっとどいてください」「通してください」という意味に捉えてしまい左に寄ったのです。
これはほんの数秒の出来事でしたが何か不思議な異空間にスッと入ったような感覚に陥りました。
パジャマを着て髪を乾かしている自分を理解はしているのですが、目の前に広がる景色がデパートのエスカレーターなのです。
「通してください」と言われたのだと思い、無意識に左によるという行動を取っていました。
一瞬パニックになり自分で作り上げた景色だったのかもしれません。
今まで、エスカレーターで通してくださいと言われたこともないのですが、なぜあの世界が数秒間広がったのか不思議でなりません。
まるで左脳と右脳が別々になったようです。
その後我に返り、後ろを振り返って見てもトイレがあるだけで誰もいません。
あまりにもリアルな景色でそこにいるのが当たり前なような気持ちにもなりました。
他の世界と交わってしまったのかと思う出来事でした。
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