隣の一人暮らしのおばあさんの最後
投稿者:ドロケイ (15)
短編
2021/12/22
12:36
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私が家族でフランスに住んでいたときの話。
こちらのアパートは100年以上昔の建物が多く、私のアパートもかなり年季が入ったアパート。
住んでいる住民も昔から住んでいる高齢な人が大半で、年々その人数は減っていく。誰かが亡くなると、アパートのエントランスの掲示板に「お悔やみ」という紙が貼られ、葬儀会場などのお知らせがある。
なんせ古いアパートなので、しょっちゅうエレベーターの故障もあり、階段がきつい高齢者には厳しいと言いつつも隣に住んでるおばあさんは1段1段ゆっくり上がる。
ちなみにこの隣のおばあさんの家との壁は薄くて、声が結構まる聞こえなこともあり、私たちは気をつけていた。
しかし、このおばあさんはそのうち車椅子になり、声が聞こえなくなり、痴呆症を発症してしまう。
毎日、テレビのボリュームを上げて、誰かと電話するときも、かなりの大声を張り上げて喋っている。
電話の呼び鈴が鳴っていても、気づいていないことが多く、結構頻繁に誰かがかけてきている。
ある時、おばあさんが誰かと楽しそうに話してる声が聞こえ、ああ今日は元気そうだなーと思っていた。
その夜、親族らしき人がおばあさんを訪ねてきたけれど、鍵が開けられないといい、消防と警察に通報。
私の部屋の窓から隣のベランダづてに部屋に消防士の方が入ったところ、おばあさんは床に倒れていたらしくすでに亡くなっていた。
確かに誰かと楽しそうに長電話していたのはつい先ほどだったのに・・・。
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