小学校に出る中学生
投稿者:gray (9)
正門についたらA君、ほかその場にいたB君C君もおり、皆で正門を見上げていました。
もちろん、夜に小学校の門など開いていません。
光はついていたので、誰かいたのでしょうが、ばれたらこっぴどく怒られる。
そうおもってか、フェンス越しに見に行こうということになり、焼却炉のほうへと回りました。
裏庭の横を抜け、焼却炉前あたりのフェンスにつくと、石垣なんかを登って学校をのぞき込みます。
何もないいつもの学校なのですが、夜というだけで少しばかりワクワクして、また得も言われぬ怖さを覚えました。
「おい、いないぞ」
A君が焼却炉を見ながら言います。
「もう走ってんじゃね?」
「見つかったらやばくね?」
「俺見つかったら首引っこ抜かれるって聞いた」
A君の一言で緊張が解けたのでしょうか、周りにいた友達も口々としゃべり始めます。
尾ひれがついたであろう、自分が聞いたことある話を皆言い始めます。
そんなことを言っていれば怖くなってきて、ただ怖いから帰ろうとも友達の手前言えない。
やめればいいとわかっているのに、怖い話の流れだからと話はどんどん怖い話大会のようになっていきます。
ふと、A君がまた口を開きました。
「そういやなんで中学生なんだろうな」
確かに、我々は小学生。ここは小学校です。
中学生なんか入ってきませんし、はるか上の存在です。
「いても小学生だし、もしかしたら、、、」
A君が何かを言おうとしたあたりで、ガタッ、と、焼却炉のほうから音が聞こえました。
パッ、と皆焼却炉のほうを向くと、何やら黒影が、しかも中学生ぐらいの背丈のものがいるじゃありませんか。
出たっ、と思うが早いか足が先か、皆我先に逃げ始め、その日は解散となりました。
本当にそれが中学生だったのか、ただの用務員さんだったのか、今となってはわかりません。
が、その時我々からしたら、そのようにしか見えませんでした。
そんなこんながあってから、皆自然とその日のことについて触れず、また怪談にも触れなくなりました。
私はA君があの日言おうとしたことが気になったのですが、聞くに聞けず、そのまま卒業して中学生では別れてしまいました。
そのまま十年近くたって、成人式でたまたまA君と会う機会があり、この話になりました。
「いや、そんな深い意味があったわけじゃないけど、、、」という前置きを置いて、A君は話をしてくれました。
ゾクッとしました