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鰯屋さんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

亞宋島
短編 2025/01/19 06:57 616view

皆様は日本が幾つの島から成り立っているかご存知でしょうか?
国土地理院の調査によれば現在14125島が島として認定されているそうです。
この数は近年の再計数で従来の数値から大幅に増加したものであり、それまでは認知されていない島も数多く存在したということですね。
今回は、そんな現代においてさえも認識されていない「とある島」に関するエピソードについてお話しします。

私がその島を最初に知ったのは、さる好事家清水氏(仮名)の書斎であった。
その日は、清水氏が苦心して入手した大正年代の文書を自慢したいとのことで、私含む親しい人間が招かれていた。
その文書は当時の海軍少佐の私文書であるとのことで、確かに実在した人物の名前が記されており、清水氏によれば同人物が残した他の文書と筆跡が似ているため偽造の疑いは低いとのこと。

文書自体は、将校という立場ある人間から見た当時の情勢や些細な日常を窺うのに好適なもので、私や友人も楽しんで目を通していた。

達筆な箇所によく目を通そうと、私が持ち上げた文書の間から一枚の海図が滑り落ち、友人が目ざとくそれを拾い上げる。
それは伊豆諸島〜小笠原諸島までのエリアを低縮尺で描いたもので、ただ一点を除いて内容は現代のものと比較しても遜色は無い。

その一点とは、伊豆諸島御蔵島から南方に外れた場所に位置する島嶼の存在で、八丈島と比較しても3回りは大きいそれの上には「亞宋島」と記されていた。
現代では観光地として名高いこれらの島々であるにも関わらず、その場に集められた誰1人としてその島の名前すら聞いたことが無い。
現代の地図を見ても島があるはずの場所は海となっており、地理について書かれた書籍をいくつか参照しても全く記録が見当たらない。

測量ミスや、別の島との混同・誤記なのではないか、などと議論する私達であったが一向に答えは出ず白旗を上げることとなる。
直後、私達のギブアップを今か今かと待ち侘びていたであろう清水氏が、意気揚々と解説を始めた。

清水氏曰く、亞宋島は明治から大正時代にかけてごくわずかな文書上でのみ、存在が確認される島であり、この文書を入手した動機も亞宋島に関する記述があるためであるとのことだ。

かつては公文書にも存在が記され、有志による現地調査も行われたが、誰1人として島影すら見ること無くいつしか忘れ去られた幻の島として眉唾物となり、今では氏のような人間が独自に調査を進めているそうだ。

その後、清水氏が保有する島の資料を見せてもらうことが叶ったが、その記述内容は俄かに信じ難いものだった。
以下はその内容の抜粋となる。

 島民は身長が低く頭と目が大きい特徴を有し、何らかの背が低いヤシを栽培して生活している。
 島民は未知の言語を用い、接触した人間に対して無関心であったが、船舶・航空機には強い関心を示していた。
 家畜としては豚が主であり、本土のそれより成長が早く気性も温厚である。
 島全体が強い磁気を帯びており、磁針や計器類が狂いやすい。
 島内には大型のフクロウや、二足歩行するサンショウウオなど、特異性の高い生物が存在する。

清水氏は現在行方不明である。

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