奇々怪々 お知らせ

都市伝説

鰯屋さんによる都市伝説にまつわる怖い話の投稿です

錯死
短編 2025/01/25 03:10 1,532view
0

世の中予想もつかないことがあるもので、戦争の最前線を生き延びた兵士が休憩中、頭に落ちてきたヤシの実で亡くなった事例があるらしい。
何とも報われない話である。
今回は、そんな身近でありながら何よりも遠い死について、司法や医療の現場で語られる奇妙な話を1つ語りたい。

私がこの話を聞いたのは、好事家の清水氏(仮名)と別件に関する雑談を行っていた時であった。
会話の流れで、偶々テレビに映る当時世間を賑わせていた火災へと話題が逸れ、清水氏が声を落としてそれにまつわる裏事情を話し始めたのだ。

法医学に精通する清水氏の知人曰く、「現場の状況は概ね報道の通りではあるが、発見された遺体の数のみフェイクが混ぜられている」とのことだ。
何でも、本当は現場に発表の倍近い数の遺体が転がっていたらしい。
その数はそこが一般住宅であったとは思えない程であったと。

「現場でパーティーでもやっていたのか?」という清水氏の疑問は即座に否定され、身元が判明した被害者には家に呼ぶような知人がいないことも判明したという。
加えて、折り重なるように倒れた遺体の中には損傷が極めて軽微なものがあったにも関わらず、その家の住人以外は一切身元を特定できていない点で異常だったそうだ。

現場では免許証や携帯電話まで発見されていたが、そこに記された情報に該当する人物は制度発足以降全てにわたって存在した記録が無く、携帯の画面に映し出された通信会社名もまた存在した記録が無いものであったという。
携帯はデータを確認する前に充電が切れてしまったうえ、端子差し込み口と思しき場所の形状がいかなる規格とも異なっていたため、現在専用の充電端子を製作中であるらしい。

しかし何より奇妙なのは、身元不明遺体の中に火傷や窒息等火災由来の原因で死亡したものが確認されなかったことだという。
いずれも30m以上からの落下や心筋梗塞等関係無い要因で死亡しており、中には死後1月以上が経過しているとみられるものまであったという。

清水氏の知人曰く、「この界隈ではたまに聞く話であるが、遭遇したのは初めてだ」とのこと。
物品ならともかく、人間の死因まで偽装するのは不可能であり、私は「どこかの暴力組織が証拠隠滅に火災を偽装した」のでは無いかと疑問に感じたが、清水氏は首を横に振った。

曰く、「火災原因はコンセントのショートと判明しており、歯の治療痕からも個人の特定はできていない、なによりそういった組織ならより確実で地味な手段を使う」とのことだ。
同様の現象は比較的大きな災害等で確認されやすいが、小規模な交通事故でも確認例があるらしい。

彼等はどこから来ているのか?何故死因を偽装するようなシチュエーションでばかり確認されるのか?
詳細は一切不明とのことだ。

1/1
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。