アポロチョコが怖いという謎
投稿者:gray (9)
小学5年生くらいの時の話です。
幼稚園からの幼馴染であるAちゃんと遊んでいると、彼女が不意に「そういえばアポロチョコが怖くて」と急におかしな話をし始めました。
いったいどういうことなのかと聞いてみると、Aちゃんが弟のM君と一緒に近所の神社に遊びに行ったところ、お社の下にくまのぬいぐるみと一緒にアポロチョコの箱が置いてあって、それがとても怖く感じたとのことでした。そのため、最近アポロチョコが食べられなくなったと。
私は話を聞いただけではいまいちピンときませんでした。するとAちゃんが一緒に行ってみようと言うので、二人でその神社に行ってみることにしました。
その神社はAちゃんの家から歩いて5分程度の場所にありました。丘の上にある神社なので、少し急な石段を登ると、小さな公園のような開けた場所に出て、その奥に小さなお社が建っています。
お社の床下は、小学生の子どもが潜って座れるくらいの高さが余裕でありました。またお社は入り口の反対側、つまり後ろ側が壁に面して建っており、小さな建物なので、床下をのぞき込むと壁まで全部見渡せました。
「ほらここだよ」
気味悪そうに言うAちゃんに言われてのぞき込んでみると、木々に囲まれてあまり日が届かないせいもあり薄暗い床下に、壁にもたれるようにたしかにくまのぬいぐるみがありました。
「ほらあったでしょ。あの隣にアポロチョコが置いてあってさ。それ以来怖くて」
数日前の出来事だったためか、アポロチョコの箱は見当たりませんでした。誰かが潜り込んで、そこでおやつのアポロチョコを食べて、箱を忘れていったのかもしれません。
それよりも、アポロチョコが怖い怖いというAちゃんの方が、私には不気味に思えました。
神社のお社の下にくまのぬいぐるみがあったら、アポロチョコなんかよりそちらの方が普通は怖いのではないかと思ったからです。
しかも、くまのぬいぐるみの後ろ、つまり壁には真っ赤なペンキのようなものがべったりついており、読めませんが何か文字のような物が書かれていました。
私はくまのぬいぐるみとその文字の方がよっぽど怖かったのですが、Aちゃんはしきりにアポロチョコが怖いアポロチョコが怖いと繰り返しました。
気味が悪くなった私が早く帰ろうと促すと、Aちゃんは明るくそうだねと言って、彼女の家の方に向かいました。
Aちゃんは元々怖い話が好きでよく怪談話を聞かせてくれたのですが、一度話始めたらしばらくはその話ばかりになるというのに、神社を後にしてからまったくアポロチョコの話をしなくなりました。怖いからしたくないという感じではなく、まるっきり忘れてしまったかのように。
本当に些細な出来事でしかありませんが、未だに思い出しては不可解でなりません。
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