ダウンジャケットの怪
投稿者:希子 (19)
とても寒い地方に住んでいます。10月に入るとだいぶ冷え込んでくるので、コートを着だす事も少なくありません。近年はその高い保温性から、軽いダウンジャケットを着る人が圧倒的に多くなりました。
去年の秋口に、用があって久しぶりに町中へ出かけました。お店が立ち並ぶ通りは人も多く、みな面白いほどにダウンジャケットを着ていました。もはや制服のようです。もこもこの幅が細かい人、太い人、色とりどりのダウンジャケット集団の中を歩いていくと、古書店のウインドウに目が留まり、私は立ち止まって陳列を見ていました。
その時ふっと気配を感じ、そろそろと横を盗み見ると、男性?らしき大柄な人が、1メートルほど離れた所に立って、私同様、書店のウインドウを見ています。初めに目に入ったのは、その方の来ているクリーム色のダウンジャケットでした。が、注意すると手袋もズボンも、またブーツのような履物まで、同じクリーム色なのです。しかも全部に、同じもこもことしたダウン幅が入っています。
(…あ、あれっ?)
おそるおそる目線を上に持っていくと、なんと頭の部分まで、ダウンジャケットのもこもこが続いているのです。私は息をのみました。この人…人でいいのでしょうか、全身がダウンジャケットもこもこで覆われていたのです!
その人はゆっくり顔を私の方に向け、そしてにこっと笑いかけました。…笑いかけたような、気がします。ダウンジャケットなお顔に、つぶらで大きな瞳と、にこやかな口がついていましたから。私は一瞬、立ったまま気を失ったかのようで、次の瞬間には大慌てできびすを返し、その場を立ち去ったのですが、すぐ後の記憶があいまいなのです。
危険な感じは全くしませんでしたが、こんな昼間に町中でおばけのようなものに出会うこともあるんだ…とドキドキしました。家族に話したら、寝不足のせいで幻を見たんじゃない?と笑われます。あの時の事を思い出すと、今でも胸がドキドキするのですが…。
ミ、ミシュランマン
汚れたビバンダム
ゴーストバスターズに退治してもらお