冷え切った高齢者施設の物置部屋
投稿者:ジュリー (62)
私が勤めていたのは築30年以上の老人ホーム。
当時20代になったばかりの私が生まれる前から建築されていた伝統ある施設でした。
周囲の友達からは「あんな不気味なところ辞めたら?」とか、「怖いこととか起きないの?」と会う度に言われてうんざりしていました。
「何もないよ。忙しくて毎日バタバタしてるし、亡霊なんて気にしてる暇もないから。」と友達に言うことが続いていました。
ある時、入浴場の奥の物置にエプロンを片付けるように先輩から言われ、足を踏み入れました。
やけに薄暗い雰囲気とひんやりした空気。
さっきまでの場所とは何かが違うと感じるような空気でした。
よく目を凝らすと奥には2つの浴槽があり、びくっと身体が震えました。
ただでさえバタバタしている入浴場。
利用者の人数に反比例して3つしかない浴槽を洗っては使い回しにしていたのですが。
「こんなところに浴槽があるなら使えば良いのに。」と思った反面。
「使ってないということは何かあるんだな。」とすぐに察しました。
後から知ったのですが、かつては第一浴室、第二浴室と同時に使っていたそうです。
職員が目を離したすきに第二浴室で溺死していた利用者がおり、その後使わなくなった第二浴室。
それが現在の物置と化していたことを知った時には「思った通りだったな。」と思いました。
その後も何度か行っては夏場でも昼間でも寒くて薄暗いあの物置に怯えながら入っていました。
直接霊を見たことは未だありませんが、空気だけでも恐ろしいあの部屋を思い出すと物悲しい気持ちと恐怖心の混ざった思いが湧いてきます。
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