生きている人の強さ「カミサマの言っていた人」
投稿者:gray (9)
そのうち窓に目をやると、カーテンが半分開いていることに気づきました。
その瞬間、明確に「なんかコレはヤバい!!」と感じました。
どうしてかという説明は出来ませんが、外に何かを感じたのです。
なぜ半分も開いているのか、どうして寝る前に気がつかなかったのか、いやもし寝る前にも開いていたなら絶対に気がついていたはず。
そう思うと、1回目の時よりも怖くなりました。
カーテンに気づいてすぐに、家の1階から「ナニかが来る」ような気配がしました。
そう感じとったらすぐに、階段を上ってくる音がしました。
それが異様な音でした。
もし人が階段を上がるとどんなに早くあがっても「トントントントン」とリズムがついた音になるはずです。
なのにその音はしたから上に「ダダダダダダッ!」とまるで腹這いになってカラダを引きずりながら迫ってくるような音だったのです。
私はその異様な音を聞いて”来る!“と感じ、早く逃げないとと思いました。
しかしカラダはもちろん動きません。
そのときどういうわけか、弟の話を思い出しました。
「幽霊とかよりも生きている人間の方がよっぽど強い。だからナニかが来ても”こっち来んな馬鹿野郎“って言って跳ね除ければ良いんだよ」
真面目に聞いていたわけではないけれど、急に思い出したその言葉を必死に体現しようとしました。
カラダは動かない、でも頑張れば声は出せるかもしれない。
私は一生懸命に、「来るな、来るな、来るな」と声にしようともがきました。
”さっきの変な音は1回しただけだから、まだ3階には来ていない。今のうちに早く!“
そうしているとまたすぐに、あの音がしました。
今度は2階から私のいる3階めがけて、「ダダダダダダッ」と明らかにさっきよりもすぐ近くで聞こえました。
”あぁ、もうドアのそこにまで来た!“
その瞬間私は「あああ!」と声を出すことができました。
言葉にはなっていなかったけれど、声が出せた途端にカラダも動くようになりました。
早く逃げよう、でもドアを開けて下に行かないといけない。
私は「ふざけんなよ、この野郎、ナメんなよ」と自分の思いつく限りの強気な言葉を唱えながら、ドアを開けました。
ナニもいません。
すぐにでも下に行きたかったけれど、なんだか自分の部屋から廊下に出るだけなのに床が気持ち悪くて咄嗟にベッドのシーツを廊下に投げてその上を走りました。
そして深夜だったし親も寝ていたけれど、小さな子どものように揺すって起こしてこれまでのこととさっきの出来事を話しました。
お母さんは寝ぼけながら、気のせいだと取り合ってくれませんでした。
しかし意外にもお父さんは神妙な顔をして「明日、カミサマのところに行こう」と言って私と朝になるまでリビングで起きていてくれました。
生霊は死霊より怖いとよく言われますよね、ほんとその通りだと思います。