おててがいたい
投稿者:ゆりあん (7)
3年ほど前の話です。
当時、私たち家族は古いアパートに住んでいました。
「子どもには霊が見える」という話はよく聞きますが、娘もまだ話せない頃から誰もいない天井に向かって手を振ったり、キャッキャと笑っていることがありました。その様子を見て、「もしかして何かいるのかもしれないね。でも悪い霊ではないみたい。」と夫婦で話したことがあります。
確かに天井のほうからラップ音が聞こえたり、なぜかテレビなどの電化製品が壊れやすくて、少しおかしいなとは思ったこともありました。でも娘が成長するにつれて天井バイバイもしなくなり、慌ただしい毎日だったのであまり気にすることもなく過ごしていました。
それから暫くして、娘は2歳になり、好奇心旺盛でお話も少しずつ上手になってきました。
ある日、ふと気付くと娘が部屋の隅でしくしく泣いています。驚いて私が「どうしたの?」と尋ねると、「おててがいたい。」と言います。娘の柔らかな手を見て、私は背筋が凍りました。なんと、娘の手首に掴まれたような赤味があったのです。
「こ、これ…どうしたの?」突然のことに動揺して、私の声は震えていたと思います。「おばちゃんがおててをぎゅってしたの。」と娘は悲しそうに言いました。その日はお買い物で少し外出しただけで、目を離したつもりはなかったのに。「さっきお外に行ったとき?」と念のため聞いてみましたが、娘は首を横に振るだけで何も言いません。
まだ詳しく説明できるような年齢ではなかったので、本当のところはよく分かりません。でももしかすると天井のあの人かもしれません。娘が「見たことあるおばちゃんだったよ」と言ったので。
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