これは昔、私が友人と深夜にドライブしていた時の話です。
その頃の私たちは、21時頃から朝までで行けるところまでドライブするのにハマっていて、隣県まで行くことも多々ありました。
しかし、そういえば県内で遠めのところにはあまり行っていないことに気付き、その夜は特に観光名所でもない田舎に行ってみようという話になりました。
その夜もいつもと同じようにいつも使うレンタカーのお気に入りの車で走り出しました。
もちろん、田舎ですので目的地に近付くにつれ街灯はどんどん少なくなっていきます。
山道を通るのは慣れていたので特に気になりませんでしたが、いつもより友人の口数が少なかったので「あまり乗り気ではないのかな？」と違和感は感じました。
そして遂に町に到着するも特に観光するところもない住宅街ですので「田舎だなあ」と話しながら目的もなくぐるぐる運転していたのですが、その中でとても大きな工場があり赤いランプが点滅していてまるでライチ光クラブに出てきそうだねと友人が言いました。
私は気分転換に公園のようなところで一休みしようと提案しました。
しかし初めて来る町なのでどこに公園があるかGoogleマップで調べ、それをカーナビに入れて向かうことにしました。意外にも近くにあったので「そんなところ通ったかな？」と思いつつも走らせていくと、山へ続く坂道の途中で「到着しました」とカーナビが案内を終了しました。
周りを見渡しても街灯もなく、とくに公園らしきものも見当たりません。道路側には塀、もう反対側はガードレールで住所を入れ間違えたのかとも思いましたがひとまず車を降りて散策してみました。
ですが、近くに公園はなく、あるのは塀の中に墓地があるくらいでした。なんだか不気味だなと思いつつ公園と霊園ってGoogle的に同じ括りなのか？と茶化して再度別に公園がないか探し、そちらに向かうことにしました。
その道中、なぜかカーナビが何度も案内間違いをして工場付近をぐるぐる回ってしまい、不穏な空気が流れるもなんとか公園の入口のようなところにたどり着きました。
やはり街灯は少しもなく、公園と思わしき場所は植栽で覆われていて中も見えず「公園なのに街灯もないのか？」と不審に感じました。
私も友人も怪しんでいましたが、せっかく来たのだからとカーナビの案内するように入口から真っ直ぐ車を走らせました。
しかしどんなに真っ直ぐ進んでも駐車場にはつかずおかしいな？と思い始めた頃、直線の道で
「到着しました」
と無機質な音声が流れました。
どこにも到着出来ていないけど…とカーナビの案内を終了しようとボタンに手を伸ばした時
「到着しました到着しました到着しました」
何度も繰り返す音声。また、焦って案内終了のボタンを押すも全く反応せず、これはおかしいと慌てて切り返しその公園を後にしました。
友人はその間凍りついたように何も喋りませんでした。
その後、近くのコンビニの駐車場に停めて落ち着きを取り戻した私は「カーナビの故障かな〜」と呑気に友人に話しかけました。
友人はスマホでさっきの公園を調べたようで深刻な顔で
「さっきの公園、元処刑場だったんだって」
「最初の墓地も処刑場の土地だったらしいよ」
友人は元々少し霊感があったので最初の墓地の時点で嫌な予感はしていたそうです。なんで止めてくれなかったのか問い詰めると「言いたかったけど、なぜか言えなかった」と。
その時、助手席で凍りついたようにカーナビを凝視していた彼女を思い出して、妙に納得しました。
その後から私たちは深夜に知らない場所にドライブするのはやめました。知らない内に恐ろしい土地を招き入れられるのはもう勘弁ですから。
処刑場が