東北の山村で崇められる石引様
投稿者:雅 (2)
あたりが真っ暗になったら、村人がみんな中央広場に集まる。
そんで、鈴をシャンシャン鳴らしながら、村中をぐるぐると練り歩くんだ。
村長を先頭に3周くらいかな。
その間、誰も何も話しちゃいけないんだ。
笑い声を上げるとかは絶対ダメ。
本当は表情も無表情がいいらしいんだけど、そんなのできないだろ?
だからわざわざお面を使うんだ。俺が使ってたのは猿のお面だっけ。
俺はてっきり、この村周りが「儀式」なんだと思ってたんだけど、違ったみたいだ。
3周したあと、みんなで広間に集まった。
普段なら、もう飲めや騒げやのどんちゃん騒ぎなんだけど、今回は様子が違うんだよ。
村長の爺さんがゆっくり仮面を外したんだ。それに釣られて、みんな一斉に外してた。
「これから石積みの選定を始める」
村長が言って、みんな頷いてた。
それで、みんな黙ってAさんを見てるんだ。
「A」
村長は名前を呼んだっきり黙り込んだ。
ほら、言葉にしなくても分かることってあるだろ?
村のみんなが、「おまえの責任だ」って睨み付けてるんだよ。
「おまえの責任だから、おまえがなんとかしろ」
俺、ガキながら分かったよ。
この中で一人、犠牲を決めようとしてるだなって。
そんで、それがAさんなんだなって。
Aさんは躁鬱みたいな感じになってて、祭り中ずっとおかしな感じだった。
もう、まともに会話ができないっていうか、見るからにおかしいんだよ。
よだれとか鼻水とかだらだら垂らしてさ、正気じゃないんだ。
村長が呼びかけて、村の連中が詰め寄ってもへらへらしてるんだ。
あっちこっちからため息が聞こえてきてさ、俺は「どうなるんだろ」って思ってた。
したら、いきなりじいちゃんが俺の首根っこ掴んで、前に出たんだよ。
「んじゃ、うちの孫で頼んます」
俺、頭の中真っ白になって、じいちゃんの顔見たんだ。
そしたらびっくりするくらい無表情なんだよ。
それ、すごい怖くて。
とても読み応えありました
面白い話しでした
洒落怖全盛期を思い出しました
どうしても昔のうひゃうひゃうひゃを思い出すな
これって1さん憑かれてない?
1です。たぶん大丈夫ですよw
山形の人は気が強いのか。そうかもな。
長いけどよかった
ねぇ1さん 寝言 録音してみよ
ちょっと古臭い
これって、石引様に何かされてるだろ。
> モテないわけじゃないんだぜ?
結構夜の町でひっかけたりするんだけど、
…夜は夜でポン引き様に魅入られちゃったんですね、わかります
他所から遊びに来てる子供に儀式を任せるとか正気か
よくそんなノリで長い間伝統を維持してこれたな
儀式をやったのその時が初めてなんじゃねえのって思っちゃうくらいの杜撰さ
騒ぎを持ち出した少年に責任とらせるっていうのが田舎らしい。
だぜ?
Aさんの様子が統合失調症の症状や薬のストレス性チックに合致するけど医療に繋げてくれる人はいなかったのかな
この手の話を聞く度に思う。誰かを犠牲にしないと存続出来ないような村ならいっそ滅べ、と。生き残る奴が、犠牲になった人より価値があると思えない。鏖殺でええよ。
村落 カミサマに纏わる話は、総じて救いがないというか、恐ろしい話が多い。
言い伝えられている名前とは違う、別の名前をもっていたりする。
儀式や決め事を守らなかった者たちの顛末とか、この手の話には、よくある展開だったけど、ラストでゾクリとした。あぁ、取り憑かれているねって。
時代は変わり、もう集落なんて過去の遺物になるんだろうけれど、話自体は、こういう形で残っていくんだろうな。
面白いですよ。うひゃひゃ。
杉ちゃんかな?
寝言でうひゃうひゃ言われてちゃ醒めるわなw
これ家にばっかいるなって外に出した爺ちゃんが一番の元凶じゃね?
ま~たこんなパターンの創作話、と読み始めたが。
なんだか何カ所ものディテールがリアルっぽい。まぁ、上手いのでしょう。ほんわりと怖い余韻もしっかり残すし。
寝言でうひゃうひゃ笑ってるんだろうな
村の迷信に惑わされて医療機関に繋げてもらえないAさんが気の毒すぎる。これはヒトコワでは?もちろん怖いのは村人の方で。
最後が蛇足に感じてしまうが面白かった!
ぶったたいた母が怖い