これは、親友のT城君の体験です。
ある夕暮れ、サッカー終わりのT城君が急いで電車に乗って、しずかに揺られていました。ガタゴト揺れること30分、家の最寄り駅につくと、
「あれ。」
彼は何か異変を察知しました。人の顔をよく見るとモザイクがかかったように見えるのです。
しかも、人によってモザイクの強さが違うのです。とても強いモザイクがかかった人や、さほどかかってない人。不思議に思って立ち止まっていると、
「ピロン。」
パソコンから着信音が鳴りました。上司からの連絡だと思ったT城君は、いそいで近くのコンビニのイートインスペースに座り、パソコンを立ち上げました。メールの受信を見てみると、どうも違うようです。すると、勝手にインターネットが立ち上がり、こう検索されたのです。
{おまえは、人の「遅さ」がわかるようになった 1か月後、お前を遅くする}
それだけでした。体格のいい男性が並んで歩いていました。けれども、一人はモザイクがそれほどないと思えば、もう一人はとても濃いモザイクがかかっているのです。
彼はますます混乱し、
不安になりました。遅くなる、ということはにぶってしまうことなのか。彼はそう考えたのです。
それから1か月間、ずっと必死にトレーニングをしていました。
とうとう宣告された1か月後がやってきました。ですが特にいつもと変わることはありませんでした。
「なんだ、たいしたことなかったな。」
ほっとしたのもつかの間、トレーニングマシーンが暴走し始め、彼は病院送りとなったのです。
彼は今も脈が遅く、重体となっています。
僕は、今でもこう思います。
重くするというのは、「体重を」ではなく「彼の脈」を遅くする、ということではなかったのかと。
~完~
この物語は僕が考えたフィクションです。
重いのか遅いのかどっちよ?
遅くするんじゃねーの?
知らんよ