第三話 オカルト探偵登場
蛹を撒く作業は午前中には終わった。
『ご苦労だったな』
博士はスナック菓子のようなものをボリボリ食べていた。それは昆虫の卵だった。
『孵化(ふか)しなかったギドロンの卵だ。卵には栄養が詰まっているから食うことができる』
『博士の研究は食用の昆虫を作ることですか?』
いくら肉体労働専門の俺にもそれくらいの予想は出来る。
『こんな卵は副産物に過ぎない。私の研究は昆虫を使った被災地の復興だ』
『被災地の復興!?』
また飛んでもないことを言ってくれる。昆虫で復興なんて出来るわけがない。
『信じられないだろうが、このドームはギドロンがガレキを材料に作ったものだ。そしてドームの中にはギドロンの卵が一万個産み付けられている。その卵が次のドームを作る』
蜂の巣ではあるまいし昆虫にガレキが加工できるものか。
『ギドロンの牙はコンクリートでも噛み砕く。唾液は鉄骨をあめ細工のようにできる』
『そんな馬鹿な』
あまりに荒唐無稽である。
『だから説明しても無駄なんだ。天才の発明は凡人には理解できない』
俺は確かに凡人だった。
『そんなでもないわよ』
何故か北風が突然現れた。本当に風のようだ。
『離れたところに車を駐めて盗み聞きしていたの』
ガレキに隠れて近寄ったなら気づかれはしまい。
『私も着いて来ました』
中年の男が現れた。どこかで見た顔だ。
『大崎さんじゃないか?』
木箱を回収に来たドライバーの大崎さんだった。
『オカルト探偵の大崎先生よ』
北風は男を紹介した。大崎さんは北風の上司らしい。
『オカルト事件専門ではないですよ。例えば信用調査もします』
大崎探偵はドライバーに変装して博士のことを潜入調査していたのだ。



























作者のグレートリングです。
登場人物が4人になってやっと話が盛り上がりそうですが、次が最終回です。
いろいろ謎を残したまま終わりますが、次回作も用意してますのでご勘弁ください。