奇々怪々 お知らせ

不思議体験

グレートリングさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

心を忘れた科学には オカルト探偵登場
短編 2026/11/01 19:32 68view

『私は善良な昆虫学者だ。どうして犯罪者扱いされなければいけない』
博士は心外そうだ。
『◯◯市役所は博士を詐欺師でないかと疑っている。それで私に信用調査を依頼した』
二人の間で視線が衝突して火花を散らした。
『まるで怪人二十面相と明智小五郎の対決ね』
北風は言った。それなら俺は小林少年の役回りか?
『小林君は美少年よ。あなたは少年に操縦される鉄人28号と言ったところね』
それは小林少年でなく金田正太郎である。少年探偵でも別人だ。
『なんかおかしい』
俺が初めて大崎さんに出会ったのは就職してから1週間後だ。しかし大崎さんはもっと前から調査を始めていた。
『俺が博士のもとに就職したのは偶然なのか?』
探偵が潜入調査している対象に、探偵助手の知り合いがたまたま就職するなんてあるだろうか。
俺は誰かにリモコンで操縦されている気分だった。
『難しいことを考えなくていいわよ』

北風に言われるまでもなく、俺にはストーリーの矛盾を解明するなんて無理だった。

博士の仕事は終了したので俺は解雇されることになった。
『これまでの報酬は市役所で払ってくれる』
『最後に教えてください。あの黒い幼虫は何ですか?』
『それは次回作で説明しよう』
博士はメタなセリフを言った。
俺と北風は大崎さんの車で廃墟から脱出した。前回のトラックではなくライトバンだった。
『探偵事務所の専用車よ』
車内には無線機やレーダーのような機械が積まれていた。
大崎さんはこれまでの経緯を説明した。
『◯◯市の大半は地震で倒壊したが、ガレキを撤去する予算は市にも県にもなかった』
そんなときブラックマン博士が昆虫を使ってガレキを撤去する計画を持ち込んだのだ。
『普通なら門前払いするところだが、◯◯市の人間は藁にもすがる想いだった』
そしてガレキを撤去できるか実験したところ、最初のドームが完成したのだ。

『あのドームを昆虫が作ったのは本当なのですね?』
『製造の過程は市役所の人間も確認している。昆虫以外のものは誰も製造に関わっていない』
にわかには信じられない。市役所が詐欺と疑うはずだ。
『しかも博士はドームを使えば熱湯と電気を作ることができると説明した』
『電気もですか?』
熱湯は実物を見たから知っているが、電気のことは初めて聞いた。
『太陽光発電かしら?』
北風が口を挟んだ。
『博士が言うには、まだ人類が発見してない未知のエネルギーらしい』
話が急にうさん臭くなった。未知のエネルギーなんてSFの世界だ。
『博士はそれを昆虫の営みから学んだそうだ。親虫が幼虫を育てるには熱が必要だからな』
人間がまだ知らないことを、昆虫が実践しているのか?自然とは真に奥が深い。
そんな話をしていると、車は市役所に到着した。入口には仮庁舎の看板が掛かっていた。
『博士のドームが建っている場所に元の市役所があった』

2/3
コメント(1)
  • 作者のグレートリングです。
    登場人物が4人になってやっと話が盛り上がりそうですが、次が最終回です。
    いろいろ謎を残したまま終わりますが、次回作も用意してますのでご勘弁ください。

    2026/11/01/19:49

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。