「もう新聞に載ってるよ」
母が姉の言葉を遮るように続る。
見ると新聞には
「学校から飛び降り。病院に運ばれるが‥」
と書かれていた。
「俺、見たことあるかな?誰?話したことある人?写真とかある?」
大人になった今では不謹慎な行為だったと反省しているが、当時は好奇心に逆らえず思いのままに質問をした。
「えー‥写真あるかな‥あ!写真はないけど、そういえば二日前くらいに」
美術の時間、二人一組になりお互いの似顔絵を描くことになり、その相手が件の女子生徒だったという。
「え!?じゃあ見せてよ!」
「う、うん。わかった」
気が進まないような動きではあったが、そういうとスケッチブックを取り出しパラパラと捲り始めた。すると突然
「うっわぁっ」
と、姉は大変に驚いた声を上げる。
「どうしたの?」
「これこれこれこれこれ」
指をさしたページには、鉛筆で描いた人物の輪郭が無機質に記されている。
その輪郭の上を、まるで水分量の多い黒い絵の具を使ったかのように、ぐしゃぐしゃと顔がわからなくされていたのだ。
「なにこれ。気持ち悪い」
もちろんそんなことはしていない。
単純に似顔絵を描き、完成させたままにしている。
事件の内容を知っている母に見せると、絶句。
「これは持ってちゃいけないと思うからお母さんが持っておくね」
と言い絵を引き取った。
和田さんは「この子と何かあったの?」と姉に間髪入れずに質問をするも「いやー‥」と先日と同様、あまり語ろうとしない。
その後もしつこく質問をすると渋々
「あの子が飛び降りた原因、多分だけど私わかる」
と言った。
「なになに?」
「‥いじめ」























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。