「内容としましては、『あなたを、寿命を狙う輩から守る』、『生命を脅かす事象に見舞われた場合、寿命を使って無かったことにする』というものです。
この契約に際して代償は一切いただきませんし、いかがですか?」
意外だったが、何も取らないと言われると、それはそれで怖い気がする。
「代償なしという部分が気になるのでしたら、ご心配なさらないでください。
我々天使は神に仕える身ですので、人々を助けるのは当然のことです」
その笑顔は後光が見えるほどに美しかった。
やはり、こういう誠実で大人な女性が最高だ。
結局、俺は契約することにした。
親身に俺のことを心配してくれてるのが伝わってきたからだ。
それにしても、見せられた契約書の文字が全く読めない。
しかし、彼女なら信用しても大丈夫だと思った。
「最近はどこも契約社会でして、申し訳ないです」
彼女は困ったような笑顔で謝ってきた。
世知辛い世の中だと思いながら、俺は契約書に名前を書いた。
住所も口座情報もなく――ほんとに名前だけ。
契約後に「ありがとうございます」と言いながら、抱きついて感謝してくれた。
クールな女性だと思っていただけにびっくりしたけど、悪い気はしなかった。
で、いい気分で歩いていて――気づけば鉄骨の下敷きになっていた。
工事現場なんてどこにも見当たらないのに。
そのあと、横断歩道を渡っていると、暴走トラックにはねられた。
直前に見えた運転席には誰も乗っていなかった。
そんなことがありつつも、俺は無傷だった。
信じ難いことに、あの保険は本物だったらしい。
ということは、今後は死神とか悪魔とかに絡まれずに済むということだ。
どのくらいの寿命が減ったかはわからないが、まだ生きてるし、怪我で不自由な生活にもならないのはありがたい。
晩ごはんでも食べようと思って何気なく見た居酒屋では、見覚えのある3人が楽しそうに飲んでいた。
――あの契約書には、何が書いてあったんだ?

























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