「いえいえ、天使として当たり前のことをしたまでです」
キャリアウーマンにしか見えない彼女も会釈を返してくれたが――天使って言ったか?
助けてもらったのは確かなので、お礼を言って立ち去ることにした。
しかし、後ろから呼び止められた。
「他にも、変な輩に絡まれて困っていたのではありませんか?」
その言葉に足を止めてしまった。
死神とのやり取りは見ていないはずなのに、言い当てられたからだ。
「あなたは素晴らしい寿命をお持ちなので、変な輩が寄ってきやすいのです」
この人なら話が通じそうだと思って、迂闊にも質問をしてしまった。
「”素晴らしい寿命”ってなんなんですか?
寿命に素晴らしいとかあるんですか?
長い短いならわかるんですけど」
「長いのはもちろんですが、寿命が目減りしにくいもののことです。
大事故から奇跡的に生還した話などを聞いたことはあると思いますが、あれらは”長くあろうとする寿命の力”によるものです」
「あの、全然わからないんですが……」
「生きている人間からすると、そう感じるのも無理はありません。
しかし、死神や悪魔――その他様々な存在にとって、あなたの寿命は垂涎の一品となります。
今後もこういうことがあると思いますよ。
むしろ、今までなかったのが奇跡です」
ものすごくいい笑顔だったけど、割と怖いことを言ってる気がする。
「何とかならないんですか?」
不安に駆られて聞いてしまった。
変な輩が絡んでくることを防ぐなんてできるはずもないのに。
「もちろん、対策はありますよ。
神の加護――我々の保険に入ることをおすすめします」
宗教の勧誘なのか、保険の勧誘なのか――どっちだ?
「先ほども申しましたが、私は天使です。
ですので、ちゃんと神の加護のある商品を取り扱っております」
胡散臭くなってきた。
その代わりに寿命をよこせとか言ってくるんじゃ……

























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