会場に一歩足を踏み入れた途端に、私は云いようのない違和感に襲われた。
「…どうしたの?早く入ろうよ」
連れ立って来た友達に肩を軽く叩かれる。分かっている。卒業してから初めての同窓会。ずっと心待ちにしていた。
なのに…そこから足が一歩も動かない。
理由はただ一つ。
「ある人」が、そこにいたからだ。
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大学時代に所属していた映画サークル。私たちの代はとりわけ仲が良く、部室のスクリーンで夜通し鑑賞会をしたり、劇場をハシゴしたり、好きな作品について語り合ったり、映像作品を作って、学祭で公開したり…と、和気あいあいと活動に勤しんでいた。
映画が好き、というのはもちろんだが、先代や先々代が怠けていた反動、というも、理由の1つだった。怠惰な一部の先輩たちのせいで、実質的な活動が明瞭じゃなかったために、一時期は廃止の危機さえあったのだ。
それを、自分達の代でどうにか存続に留まらせた、という自負が、当時の同期全員の中にあったと思う。それ位、先代たちはあまり活動的ではなかった。
だからか、私たちの入部後も殆ど姿を見なかったし、卒業後も部室を訪れるということはなかった。
だが…日野(ひの)さんだけは違った。
暇さえあれば部室を訪れて、勝手に映画のDVDやビデオを流してだらだらと時間を潰す。そして、後から来た部員をひっ捕まえては、酒を買ってこいだのなんだのと扱き使い、その酒を片手にクダを巻く始末。加えて、学祭用に撮影している作品に、衣装がどうの、セリフがどうのと口を出す。
…とにかく、日野さんはちょっと厄介なOBだった。
良い所があるとすれば、他のOB、OGが在学中に踏み倒した活動費を、自分の分と合わせて、一括で払ってくれたことぐらいだろう。
「非常に迷惑です。もう来ないでください。」
当時の部長が、強い口調で注意をする場面を何度も見た。
…それでも、日野さんは「はいは~い」とのらりくらり交わし、その後も部室を訪れては、上記の様な、厄介なことばかりをしていた。
それなら大学側と掛け合って、出禁にすればよかったのでは?と思った人もいるはずだ。
…だが、当時の私たちには、そこまでの強さは持ち合わせていなかった。
























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