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心霊

御室真代さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

声は先に死ぬ
長編 2026/09/02 18:06 177view

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弟を無理やり取り上げた母の手はザラザラしていて、母が何をしていたのか理解するのには充分すぎた。
口から遺灰を出し、吐き出させる。その行為が、また弟を殺してしまったかのように思えた。
吐き出させたそれは、流しに捨てるしかなかった。
仕方ないことだった。本当にごめんな。アキ。

母は疲れて寝てしまっていたが、俺の心臓はいつもより強く働いて、眠りに落ちるのを邪魔していた。

薄暗い常夜灯の明かりに照らされて、秒針が同じリズムを刻む。

思い出せるのは嫌に清潔な消毒液の匂い、
窓から見えた乾いた空、

あいつの顔は、真っ暗な穴が空いたように思い出せない。頭部をペンで黒く塗りつぶした人形みたいにしか、あいつの顔を思い出せない。

その声は、その匂いは、どんなものだっただろう。

ふと、秒針と少し違うリズムの音が聞こえた。

足音…だろうか。

「アキ」

「アキが来た。」

突然、母が飛び起きた。その後すぐに俺も飛び起きる。

「俺ならここにいるよ母さん」

「アキ」

「アキ」

母さんは寝室の扉に向かって歩いていってしまう。

「俺ならここにいるってば!」

母は俺なんて居ないかのように、突き進む。
無理やり手で押えても、老人とは思えない力で抵抗される。

「アキ、アキ」

【おかーさん】

扉の先から、声がした。

男とも女とも、子供とも老人とも違うような、
聞き馴染みのない、不気味な声。

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