ところが、数年後。
ある日のことだった。
ご主人が家の外で車を洗っていた。
しばらくすると、突然、家の中へ飛び込むように戻ってきた。
顔は真っ青だった。
「どうしたの?」
「誰かに……襟首を引っ張られた」
「何言ってるのよ。お母さんみたいなこと言わないでよ」
妻は笑った。
「幽霊なんて出るわけないでしょ」
ご主人は何も言わず、再び外へ戻っていった。
しかし、それからだった。
ご主人は、家の中で奇妙なものを見るようになった。
廊下の奥から、何かを引きずるような音がする。
ズ……。
ズ……。
何か重いものを引きずっているような音。
恐る恐る廊下を覗く。
すると――
誰もいない。
そんなことが何度もあった。
あるときは、廊下の奥に人影を見た。
それは、古い時代の武士のような姿だったという。
自分の身体を引きずるように歩く落武者。
そして、その姿が廊下の角を曲がった瞬間、消えた。
また別の日には、誰もいないはずの階段を、
ダダダダダッ――
と、誰かが一気に駆け上がっていく音がした。
家族全員が驚いて振り返る。
しかし、そこには誰もいない。
そんなことが、何度も起きた。
それでも、気のせいと普段通りに生活していた。
旦那さん以外は、、、
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