そして、その「今度」は来なかった。
その夜、私は七年ぶりに父とのトーク画面を開いた。
左に並ぶ「元気か」の3文字。
そして震えた指でメッセージをゆっくりと打った。
「お父さん。
ごめん。
ちゃんと返せばよかった。
仕事は頑張ってるよ。
元気だよ。
それから、お父さんも元気かって聞いてくれてありがとう。」
部屋に響く送信の音。
当然、既読はつかない。
返信も来ない。
画面には送信済みの表示だけが残った。
私はしばらくそれを見つめた。
強く感じる心臓の重み。
こぼれ落ちる涙。
想起させられる父の葛藤。
やがてスマートフォンを閉じる。
窓の外では夜明けが近づいていた。
人は、本当に大切なことほど後回しにしてしまう。
また今度でいいと思う。
明日でもいいと思う。
けれど、その明日が来る保証なんてどこにもない。
明日で良いという保証もない。
私は涙を拭った。
そして心の中で、もう一度だけ呟いた。
「お父さん、元気だよ」
その言葉は、もう届かない。
だからこそ、痛いほど温かかった。
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