その言葉だけを残して、叔父は帰っていった。
その夜、馬蹄の音はしなかった。
夢も見なかった。
ただ静かだった。
ーーーーーーーーーー
翌日、僕は競馬場の裏手へ向かった。
草に埋もれた小さな石碑。
名前もほとんど読めない。
それでも、そこに立った瞬間、なぜか胸が締め付けられた。
僕は手を合わせた。
「……もう、終わりにしてください」
そう呟いた。
晴れているのに、
雨粒が一滴、顔のそばに落ちた気がした。
それだけだった。
その日を境に、何も起きなくなった。
雨の日も、夢も、蹄の音も。
あの騎手は、もう現れない。
ただ、競馬場で見る最終レースだけは今でも少しだけ怖い。
それでも僕は、たまに思う。
あの騎手は本当に“祟り”だったのか。
それとも――
ただ、誰かに聞いてほしかっただけなのかもしれない、と。
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