時間的猶予のないSはギリギリ脅迫になるかならないかのラインを攻めた。
具体的には世間話の形で
「最近昼も夜もBBQしたり飲み会したり騒がしくしてすんまへんな。こう飲んでばっかやと火の元の管理が怪しなってくるわ。うちの若いのにも火事だけは起こすなて強う言っとるんやがあいつらも若いせいかめちゃめちゃやりおるんで心配やわー」
などと失火に見せかけた放火まで示唆されたところでとうとうK氏も根を上げてしまった。
耐えきれなくなったK氏は土地は売却するから一つだけ条件をつけさせて欲しいと言ってきたそうだ。
K氏曰く
外からは見えないが家の裏に祠のようなものがあって何かを祀っているようなのだ。曖昧な言い方になってしまい変に感じられるかもしれませんね。ですが自分も亡くなった父もその祠については詳しく知らされておらず何を祀っているものなのかわからないのだが少なくとも祖父の代から祠の管理をしてきたのは間違いないのだ。
ただ管理といっても周囲を掃き清めたり埃などで汚れていたら軽く掃除したりする程度でお供えなどもしていない。神棚程度の感覚でこれまでずっと最低限の世話を続けてきた。
ただ流石に長年にわたって世話をしてきたので愛着もあれば畏怖もある。最終的には祠も壊されるとは承知しているが魂抜き的なことをして心残りを無くしてから引き渡しとさせていただきたい。
しかし儀礼的なことには明るくなくどこに頼めばよいかもわからないので当てがあれば紹介してほしい。
とのこと。
K氏が土地を手放す気になったので彼の心が変わる前にとすぐにSは動いた。
まずはSの地元の神社に行き依頼してみることにした。
だが彼が高校生時代にその神社で大層罰当たりなことをしたことを神主さんが覚えていたため塩を撒かれて話すら聞いてもらえなかった。
他にもK氏の土地に近い寺などにも行ったが檀家ではないし、そもそもそれが何かわからないのであればどのような儀式をすればよいかもわからないと全て断られてしまった。
当てが外れてしまったSは知り合いに霊媒師などに心当たりがないか聞いて回った。
蛇の道は蛇というか最終的には霊感商法をやっている自称修験者のMをひとづてに紹介してもらえた。Mは190センチ近い体格の持ち主でなかなかに威圧感のある男だった。
Mにことの経緯を軽く話し、パフォーマンスで良いのでそれらしい儀式的なことをしてK氏を納得させてくれればそれでよいと伝えて了承を得た。
そしてとうとう似非魂抜き儀式を行う日が来た。
参加者はK氏、M、Sとその部下数名。
修験者の衣装のMは朝から儀式の準備をしており、正午から執り行うと聞かされた。
S自身はこういうことに全く興味がなかったせいか蝋燭や何かの葉っぱや果物などが木の台に置いてあったことくらいしか覚えていないとのこと。
昼になり厳粛な空気の中Mの祝詞が響き始める。
Mは祭壇的なものの前に、他のものは全員後方に立っている。
Sはぼうっとしながらさっさと終わらないかと考えていた。Mの祝詞だけが単調に響きどうにも眠くなってくる。
落ちかけていた意識が足の痺れでフッと戻った。
まずいまずいとチラと周りに視線をやるがおかしい。
妙に暗い。家の裏手とはいえ真昼とは思えない。腕時計に目を落とすと午後4時を回っている。
4時間も居眠りしてたのか?と愕然としながら横を見るとK氏も部下も寝息を立てずにふらふらと立ったまま目を閉じている。

























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