私は訳も分からないまま、必死に手を挙げた。
「どうしましたか?」
「すいません、私の問題、なんか変で」
上ずった声で囁く。
試験官の男性は、問題用紙を手に取ってしばらく眺めた後、不思議そうに言った。
「ん?特に変わったところは見受けられませんが」
耳を疑った。
今、この甚だしく露悪的な問題が目の前にあるではないか。
もしかしたら、問題用紙を差し替えたのはこの試験官かもしれない。
“そんなはずないじゃないですか!”
そう叫びかけた時、突然頭が痛くなる。
耳に劈く笑い声、泣きながら書いた遺書、霞んでいく視界、チューブに繋がれた自分。
「これ、私だ。」
全て思い出した。
中学3年生の時に、クラスメイトから凄惨ないじめを受けていたことを。
言葉にするのも憚られるような、恥辱と絶望にまみれた日々のことを。
そのような毎日に耐えかねて、自分の部屋で首吊り自殺を図ったことを。
何年もの間忘れていた忌まわしい記憶が、薄汚れた煙となって私の脳に充満した。
全身がガタガタと打ち震え、視界が歪む。
「ちょっと!大丈夫ですか?
とりあえず一緒に退室しましょう」
試験官は焦りを押し殺した声で私に呼びかける。
ダメだ。ここで退出すれば、最後の大問の25点分が失われる。
絶対に幸せになると誓ってここまで頑張ってきた。
今、ここで諦めたら、自分のこの先の人生に益々大きな禍根を残すことになる。
「・・・大丈夫です」
試験官に対して不愛想にそう言うと、私は今なお震える手で再び鉛筆を握った。
「いや、でも」
当惑する試験官をよそに、私は鬼のような形相で奇妙な問題を解き進めた。
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問2 やがて、少女は完全に静止した。縄の張力 T[N] と m、g の関係として最も適当なものを、次の①〜⑥のうちから一つ選べ。
























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