(このままここを離れていいのか?先輩は?)
頭にスマホの映像が浮かぶ。
戻るなんて、無理だ。
俺は震える手でエンジンを始動させ、山道を下っていった。
暗い山を30分ほどかけて下ると、辺りが見えてくる。24時間営業のコンビニだ。
俺はコンビニの駐車場に車を停めると、深く深呼吸をした。
ふと、助手席に目が行く。
黄色の封筒が置かれていた。
封筒には、A先輩の文字で「〇〇君へ」とだけ書かれている。
封筒には一枚の便箋が入っており、A先輩が俺に宛てた手紙が入っていた。
「〇〇君
今日は付き合ってくれてありがとう。
この手紙を読んだということは、私が成功したということだと思います。
私は〇〇君に嘘をつきました。
私が行なったのは、「殺したい相手を呪い殺す方法」ではありません。
〇〇君、私のことを死んで欲しいって思ってくれてありがとう。
私はずっと、〇〇君を見ています。
A」
手紙を読んでも、俺には意味がわからなかった。
A先輩がどうしてこんなことをしたのか、わからない。
車の中からコンビニを見る。
そこに、A先輩がいた。
明るい店内に場違いなA先輩が、こちらを見て笑っていた。
口元が裂けていく。
裂けていく頭を気にもとめず頭を揺らしながら笑っている先輩から、俺は目が離せなかった。
数日後、警察から俺の携帯に連絡がきた。
A先輩は一人暮らしの部屋に遺書を残したまま、行方不明となっているという。
遺書には、生きてても楽しくないこと、これから1人で死のうと思うことが綴られていたそうだ。
久しぶりにサークルに顔を出したところ、他のメンバーにも警察から連絡が来ていたそうで、皆A先輩のことを口にしていた。
前まで無視していたヤツが、今は声を上げて泣いている。ただ、俺を含め誰も本当にA先輩のことなんて哀しく思っていない。しばらくすれば記憶にも残らないだろう。



























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