ツメ・・・爪・・・つめ・・・頭の中でその言葉がグルグルと回る。
髪の毛を生やすクスリは、副作用としてツメも伸ばす。
発がん性疑いのクスリを1年近く飲んだ・・・
他にも過剰にクスリやサプリを使った・・・
その結果、副作用として、毛ではなく体からツメが生えてきたのではないのか??
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
あまりの恐ろしさに呼吸が荒くなる。
居間にさまよい、ソファにドッカと腰を下ろす。
そのまままんじりともしない状況がつづいた。
「そ、そうだ・・・今日は会社を休もう」
とりあえず病気ということにして会社に休みの連絡を入れた。
山田さんは冷静に考えた。
解決策は・・・いくつあるか、考えてみよう。
ひとつ目は・・・昨日みたいに一個一個カッターでほじくり出す・・・。
これは気の遠くなるような作業、そして目の届かない部分、手が回らない部分は取ることができない。第一、取ったところでまた生えるのでは・・・。
ふたつ目は・・・逃げる。このまま人目のいないところへ逃げる・・・そんなバカな。
この日本のどこにそうして生きられる場所があるというのか・・・。
三つ目は・・・自殺・・・。いっそのこと、すべてをリセットしてしまおうか・・・しかも、こんな姿を他人に見られたくない。完全にやるならガソリンでもかぶって、すべてを燃やしてしまおうか・・・。
四つ目は・・・病院へ行く・・・。皮膚科・・・なんだろうか。これまでさんざん病院を拒んで、海外からクスリを取り寄せて、いざ副作用が出たから見てくれって・・・あまりに虫が良すぎる。自業自得。先生もさぞあきれ果てる事だろうな。
治療はどうするんだろうな。まさかこの全身のツメを一枚一枚引きはがしていくんじゃないだろうな・・・まるで拷問だ・・・。
自分の想像にビビり散らかす山田さん。
「ん・・・目がかゆい、なにかゴロゴロする」
「ん・・・口の中にも小さな突起がたくさんできはじめているぞ・・・」
山田さんの症状はどんどん進行しているようで、ついには粘膜部分も突き破ってツメが生えだしていた。
「ダ、ダメだ・・・早くしないと、目も開けられなくなるし、言葉も出にくくなる」
山田さんは仕方なく、もう何年も前に一度相談したことのある皮膚科の医師に連絡をしてみた。・・・結果、なんと医師が訪問診療してくれるという。
山田さんは安堵して、ベッドに横たわった。





























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